日本人が激怒…!? 間違いだらけの日本描写が酷いアメリカ映画(4)日本文化を極限まで冒涜した最低最悪作とは
サムライやニンジャ、ゲイシャ、ヘンタイなど、欧米に浸透している日本のイメージは様々だ。そんな日本のエッセンスを取り入れたハリウッド映画の中には、日本人から見ると違和感満載のおかしな仕上がりになっている作品もちらほら。今回は、そんな勘違いの日本描写が甚だしいハリウッド映画を5本ご紹介する。
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日本文化を愚弄したゲイシャ・ムービー
『SAYURI』(2005)
上映時間:146分
原題:Memoirs of a Geisha
製作国:アメリカ
監督:ロブ・マーシャル
脚本:ロビン・スウィコード、ダグ・ライト
原作:アーサー・ゴールデン
キャスト:チャン・ツィイー、渡辺謙、ミシェル・ヨー、桃井かおり、工藤夕貴、大後寿々花、ケネス・ツァン、コン・リー、ケイリー=ヒロユキ・タガワ
【作品内容】
貧しい漁村に生まれた新田さゆり(チャン・ツィイー)は、京都の祇園と思われる花街の置屋に売られる。イジメに遭う厳しい環境の中、世界恐慌、太平洋戦争と移りゆく世をたくましく生き、一流の芸者となっていく。
【注目ポイント】
アーサー・ゴールデンの小説「さゆり」を原作とし、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務め、映画化された作品。
まず、批判の俎上に載せられたのは、日本独自の文化である「芸者」を、中国人であるチャン・ツィイーやマレーシア人のミシェル・ヨーに演じさせている点だ。
数々の作品で様々な役を演じ、日本でも人気のある世界的大女優であるチャン・ツィイーだが、こと「芸者」を演じさせることに関しては、ミスキャストを取り越して、作品を胡散臭いものにしている。花柳界への冒涜を読み取る人がいてもおかしくないだろう。
ツィイー自身は、後に「さゆり」という源氏名で芸者となる千代を演じたことを光栄に感じ、その反響に感動したと語っているものの、メインの芸者役は中国系の女優が独占していることには違和感を覚えざるを得ない。
要はハリウッドから見れば、「中国人も日本人も一緒」といった乱暴極まりない固定観念が見え隠れする。
その上、日本が舞台であるにも関わらず、ほぼ全編、英語で物語が語られ、たまに不自然な日本語が混じるというアンバランスさも、見る者を混乱させた。
要は作り手の立場でいえば、花柳界の細かいディテールなどどうでもよく、“ハリウッド発ゲイシャ・ムービー”を作りたいがための作品であり、日本文化への畏敬の念や時代考証、花街での所作の一つひとつの描写など、全く考え抜かれていないという印象だ。
同作は米国内で約1億6000万ドル、日本でも約15億5000万円とヒットし、アカデミー賞3部門、ゴールデングローブ賞1部門を受賞した。まるで悪い冗談のようだが、これがハリウッドから見た日本観、アジア観なのである。
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