映画『バティモン5 望まれざる者』公開記念! パリ生まれの眼帯ラッパー・ダースレイダー&高校生のトークセッション開催
「法律や秩序とは何なのか? 誰にとってのものなのか?」 映画『レ・ミゼラブル』で賞レースを席捲し世界を唸らせたラジ・リ監督の最新作『バティモン5 望まれざる者』が、5月24日(金)に全国公開される。この度、同作の公開を前に、社会問題に切り込むラッパーとして活躍するダースレイダーによる特別授業が都立西高校にて開催された。
映画『バティモン5 望まれざる者』公開記念の特別授業が開催!
フランスが生んだ新進気鋭監督ラジ・リによる世界待望の最新作が遂に日本で公開される。
ラジ・リの名を一躍世界に轟かせたのは、パリ郊外を舞台に警官と少年たちの衝突を描いた『レ・ミゼラブル』。この作品は、第72回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞ほか各国の映画賞を総なめにし、世界に衝撃を与えた。
それから4年。ラジ・リ監督のもとに『レ・ミゼラブル』製作スタッフが再集結して生み出したのが5/24(金)公開となる最新作『バティモン5 望まれざる者』だ。
本作で描かれるのは、移民たちの居住団地群の一画=バティモン5の一掃を目論む「行政」とそれに反発する「住人」による、“排除” vs “怒り”の衝突。
この度、本作の公開を記念し、フランス・パリ郊外の犯罪多発地帯の団地を舞台に、都市開発を控えて治安の悪い地域の一掃を目論む行政とそれに反発する住人たちの衝突を描いた『バティモン5 望まれざる者』。
5月24日(金)の全国公開を前に、都立西高校(東京都杉並区)にて、社会問題に切り込むラッパーとして活躍するダースレイダーを講師として招いての特別授業が開催!
未来を担う高校生たちと社会派ラッパーの異色のトークセッションが展開され、民主主義、国や街といった枠組み、法と秩序などについて語り合った。
<イベント概要>
日時:5月21日(火)特別授業18:30~19:30
場所:東京都立西高等学校 第一社会科教室(杉並区宮前 4-21-32)
参加者:生徒約20名
東京都立西高等学校について
1937 年に創立された府立第十中学校を母体とする創立85年目の学校であり、緑豊かな杉並の地で、「文武二道」「自主自律」を教育理念として、国際社会で活躍できる器の大きな人間の育成を目指して教養教育を重視し様々な教育活動を行っている。
東京都教育委員会より「進学指導重点校」「Global Education Network20 指定校」「理数研究校」等に指定されている。
社会派ラッパー・ダースレイダーは高校生たちに何を語る!?
特別授業には生徒約20名と保護者数名が出席。ダースレイダーさんは最初に映画を観ての自身の感想として「どれが正解で、どこに落としどころを持ってくればいいのかが自分の中でもわからないので、都度都度、こういう事態になったら、話し合わなくてはいけないというところに辿り着きました」と語り、生徒たちにも感想を求める。
最初に手を挙げた生徒は「正直、僕は『話し合うべき』というふうには思いません」と堂々と反対意見を口にする。そして「本当は『話し合う』ということが可能だったはずなのに、(行政も住民も)互いにその選択肢をとろうとしなかった」と語り、行政側と住民側の思想や価値観の乖離にその原因があると指摘。その上で、この乖離を埋めていく方法として、移民である住人たちがフランス側の文化や価値観を理解するための教育が重要だと訴える。また、移民が貧しさゆえに祖国を捨ててフランスへと渡るという状況に対し、そうした国々への経済支援を積極的に行なうことが必要だと主張する。
これに対し、別の出席者(保護者)からは、統治側に合わせるのではなく「多文化共生を推し進め、寛容な社会を作っていく方向に進めていくほうが(問題が)収まるのでは? 互いを尊重しあうことで、対立を生まない社会になるのでは?」との意見が出る。
また、別の生徒からは、行政側のトップである市長は、急逝した前任者の代役として市長になったものの、この団地の取り壊し政策に関しては「使命に燃えているわけでもなく、嫌々やっているように見えた」という感想も出た。
ダースレイダーさんはこの感想にうなずきつつ、そんな消極的だった市長が、妻の車にイタズラ書きをされたことへの怒りから、報復的に住民の取り締まりを強化し「感情でやったそうした行動を『(取り締まったのは)彼らは法律を破っているからだ』と後付けで正統化しているように見える」と指摘。
すると、ある生徒が「移民の側が先に法律を破って犯罪行為を行なっており、行政側は法を守っているだけでは?」との疑問を口にするなど、様々な視点や立場からの意見が飛び交う。