超人気ゲームの実写化は奇跡の出来栄え…ドラマ『フォールアウト』考察レビュー (2)『ラスト・オブ・アス』との違いとは?
人気ゲームを実写化したドラマ『フォールアウト』は、配信開始たった4日で、PrimeVideo史上最も視聴されたタイトルのTOP3にランクイン。早くもシーズン2の製作が決定するなど、配信開始からしばらく経っても熱は収まりそうにない。今回は本作の魅力に迫るレビューと併せて読んでほしい一冊を紹介する。(文・すずきたけし)
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【著者・すずきたけし プロフィール】
ライター。『本の雑誌』、文春オンライン、ダ・ヴィンチweb、リアルサウンドブックにブックレビューやインタビューを寄稿。元書店員。書店と併設のミニシアターの運営などを経て現在に至る。
『ラスト・オブ・アス』との決定的な違い
ゲームの実写ドラマ化では、昨年のHBOのオリジナルドラマ『THE LAST OF US』(ラスト・オブ・アス)があるが、こちらもまたゲームの物語を忠実に描きながらも、ゲームでは語られなかった登場人物のエピソードなどをより深く描く事で、元々素晴らしいシナリオであったゲームのドラマ化を見事に成功させていた。
しかしドラマ『フォールアウト』は別のアプローチから実写ドラマ化を成功させている。
例えば『THE LAST OF US』のゲームではプレイヤーが主人公を操作して物語をリニアに体験していく。だからこそ実写ドラマ化では元のシナリオを忠実に描くことができた。片や『Fallout』のゲームは主たる物語はあるものの行動は自由であり、善人や悪人、またはなにかしらの使命感を持つなどといった、プレイヤーが自由に役割を演じ(ロールプレイ)ながら楽しむという、大げさに言えばプレイヤーの数だけ物語があるゲームなのである。
だからこそドラマ『フォールアウト』では、主人公はVault33で純粋に育った善人のルーシーだけでなく、悪人のグール(ウォルトン・ゴギンズ)、そしてどうにかして名を上げようとするBrotherhood of Steel(BOS)のマキシマス(アーロン・モートン)の三人を物語の軸にすることで、プレイヤーの数だけ主人公が存在するゲームの実写化を違和感なく成し遂げているのである。
(文:すずきたけし)
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