「映画館に革命が起きるのではないか」映画『若武者』二ノ宮隆太郎監督&主演・坂東龍汰スペシャル対談。異色の青春映画を語る
text by 山田剛志
2023年に映画『逃げきれた夢』がカンヌ国際映画祭ACID部門に正式出品された、二ノ宮隆太郎監督の最新作『若武者』が5月25日(土)より渋谷ユーロスペース他で世界同時期公開となる。今回は二ノ宮監督と主演を務めた坂東龍汰さんのロング対談をお届け。異色の青春映画の魅力を深掘りしていただいた。(取材・文:山田剛志)*本記事は物語の核心に触れる部分があります。
「普段の坂東くんとは真逆のキャラクターなので頑張ってね」着想のきっかけと作品の成立過程について
―――まず二ノ宮監督に本作の成り立ちから伺えればと思います。昨年公開の前作『逃げきれた夢』は主演の光石研さんから聞いたお話が着想源になったとのことでしたが、本作に関してはいかがでしょうか?
二ノ宮隆太郎(以下、二ノ宮)「映画を志した時から若者3人の物語を作りたいという想いがずっとあったんです。企画段階から僕と同じ事務所(鈍牛倶楽部)に所属する坂東くんと髙橋里恩くんには出演してもらおうと思っていて、もう1人加えて3人の話にしようと。脚本はあてがきでした」
――――坂東さんが二ノ宮監督の作品に出演するのは今回が初めてですね。過去作はご覧になっていましたか?
坂東龍汰(以下、坂東)「初めて『枝葉のこと』(2017)を観た時、『こんな映画作る日本人いるんだ!』と衝撃を受けて、それ以来すべての作品を観ています。今回お話をいただいた時は嬉しかったですし、主演として二ノ宮ワールドに参加できることをめちゃめちゃ楽しみにしていて」
―――坂東さんが今回のプロジェクトに参加された時、すでに脚本はできあがっていましたか?
坂東「脚本を見せてもらう前に監督と一度ご飯を食べる機会があって。その時『普段の坂東くんとは真逆のキャラクターなので頑張ってね』と言われました(笑)。同じ事務所ということもあって、それまでも話す機会はわりとあって。僕の性格を把握した上で渉っていうキャラクターを作ってくださって。当時、脚本を書いている途中でした?それとも書き終わっていたんですか?」
二ノ宮「まだ頭の中に構想がある段階だったかな。まだ脚本も完成していないのに、坂東君に出てくれ攻撃をしていました(笑)。その時点では『若武者』というタイトルも思いついていなくて、坂東くんと髙橋くんのお話を聞いて筆が進んだ感じですね」