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映画『デデデデ 後章』原作と全然違う…賛否両論のワケ(5)全身に電流が走るほど素晴らしい、でんぱ組.incの楽曲に注目

浅野いにお作品初のアニメ化を果たした映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』が公開中。前章に引き続き、浅野いにおフリークであるライターが映画の見どころを徹底解説。本作は面白い? つまらない? 忖度なしレビューをお届け。(文・ジュウ・ショ) 【あらすじ キャスト 声優 考察 解説 評価 レビュー】

※このレビューでは映画のクライマックスについて言及があります。未見の方ご注意ください。
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【著者プロフィール:ジュウ・ショ】

フリーランスとしてサブカル系、アート系Webメディアなどの立ち上げ・運営を経験。コンセプトは「カルチャーを知ると、昨日より作品がおもしろくなる」。美術・文学・アニメ・マンガ・音楽など、堅苦しく書かれがちな話を、深くたのしく伝えていく。→note

でんぱ組.inc「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」との繋がり

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』
©浅野いにお小学館DeDeDeDe Committee

 もちろん、映画版ならではの素晴らしいシーンもあった。例えば〈母艦〉の爆発と「*」の飛散により世界中で被害が出るシーンは傑作だった。前章でも流れたでんぱ組.incの「あした地球がこなごなになっても」 が再度流れた瞬間の高揚感は尋常ではなかった。

 明るい楽曲をバックに、たくさんの人が傷つく様を見せる手法は奇妙で楽しい。「デペイズマン」 というシュルレアリスムの手法がある。共存しない2つのモチーフを同じ画面に並置することで不思議な世界が構築される、というものだ。

 平成のインターネットでは、デペイズマンを駆使したシュールなコンテンツが「電波系」と呼ばれて流行っていたように思う。それこそ「アイドルグループ・ゆるめるモ!在籍時のあのちゃんが雨の原宿・竹下通りに座って刺身を食う」動画 とか。今思い返せば、炎上に敏感な令和では、なかなか実現できない世界観である。

 そう考えると〈母艦〉の爆発のシーンは、まさに浅野いにお×でんぱ組.incという平成サブカル界の立役者をフィーチャーした名シーンであった。

 ちなみに作中では、印象的なセリフとして門出と凰蘭の友情を示す「私はあなたの絶対なの」という言葉がある。これは『デデデデ』連載中に浅野いにおがでんぱ組.incに作詞提供した『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』 でも使われているフレーズだ。

 『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』は『デデデデ』とのタイアップはなかったが、連載中だったからか、ものすごく歌詞がリンクしているのでぜひ聴いてみてほしい。ちなみに、同曲には「電波系」の生みの親でもある漫画家・根本敬の『因果鉄道の旅』に登場する「でもやるんだよ」 というフレーズも引用されている。

(文・ジュウ・ショ)

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