映画史に残る大喧嘩…監督VS役者のガチバトルが生んだ傑作映画(1)そんなことまで言う…? 美人女優も被害に
”胸を打つ傑作”を共に造り上げる、監督、共演者、スタッフ。しかしその裏では、厳しい指示出しや、過酷な演技指導があった。罵声が飛び交い、周りをヒヤヒヤさせ、現場をギスギスした空気に包み、更には”被害”と告白する共演者までー。そんな撮影の裏側があるからこそ、傑作を作り出した、監督VS共演者のバトルエピソードを5選紹介する。
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罵声も人格攻撃もあり!? あの有名女優も被害に…。
『嫌われ松子の一生』(2006)中島哲也VS 中谷美紀
上映時間:130分
製作国:日本
監督・脚本:中島哲也
原作:山田宗樹
キャスト:中谷美紀、瑛太、伊勢谷友介、香川照之、柴咲コウ、市川実日子、黒沢あすか
【作品内容】
中谷美紀主演で、山田宗樹の同名小説を映画化した波乱万丈な人生を送った女の一生を綴った物語。監督には『下妻物語』の中島哲也。他殺体となって発見された主人公の松子の部屋の整理に訪れた甥が彼女の数奇な足跡を辿る。昭和22年、福岡県に生まれた松子は明るい少女時代を経て中学教師となるが、ある事件が元で失業。
その後は男性遍歴を重ねるたびに不幸になっていき、ついにはソープ嬢となって殺人を起こし、刑務所に服役してしまう。収監中に美容師の資格を取るが、出所後、ヤクザの男と交際を始めるも逃げられる。そして独り、酒浸りの生活を続け、河原で酒を飲んでいた中学生たちを注意したところ、逆にバットで殴られ、殺されてしまう。
【注目ポイント】
メガホンを取ったのは厳しい演技指導で名を馳せる中島哲也監督。
その内容は「辞めちまえ! 」「殺してやる! 」「顔が気持ち悪い」などといった人格攻撃も含む過激なものだ。中谷美紀は、そんな罵声を受け続け、不眠症を発症し、一時的に撮影を放棄するに至る。
当時は「これで仕事がなくなってもいい」と覚悟を決めるほど追い詰められていたようだが、当時を振り返って、「今となっては、原点となる作品だった」と語っている。
中谷のみならず、『渇き。』(2014)に出演した小松菜奈も同じような“被害”を告白している。それではなぜ、中島監督は俳優に対し、このような態度を取り続けていたのか。中島には「プロに対して褒めることは逆に失礼に当たる」という信念があったともいわれている。
しかしながら、ハラスメントやコンプライアンスに厳しい現在、このような撮影手法を取り続けるのは困難な時代になってきている。
製作スタッフにも厳しいといわれる中島監督だが、『来る』(2018)以降、新作を発表していない。
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