今なら大炎上で一発アウト!? 問題だらけの名作日本ドラマ(5)残酷すぎるいじめ…数々の物議を醸す平成の傑作
時代を超え、人々の記憶に残る名作ドラマは数多くある。ところが、時の流れにつれ、テレビ放送における規定は変化し続けている。当時は名作と絶賛された作品も現在ではコンプライアンス的に再放送できないと判断されるものも増えてきている。今回は、現代では批判を喰らいそうな名作民放ドラマを5本厳選してご紹介する。(文・寺島武志)
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「同情するなら金をくれ!」
当時12歳・安達祐実の出世作
『家なき子』(1994)
放送期間:1994年4月16日~7月2日
放送時間:土曜21:00~21:54
放送局:日本テレビ系
脚本: 高月真哉、いとう斗士八
最高視聴率:37.2%
キャスト:安達祐実、田中好子、保阪尚希、塚本信夫、深浦加奈子、細川俊之、京本政樹、小柳ルミ子、小倉一郎、内藤剛志、菅井きん
【作品内容】
主人公・相沢すず(安達祐実)は、酒浸りで暴力的な養父・悟志(内藤剛志)と病弱で入院中の実母・陽子(田中好子)の家族で貧しい生活を送っており、
貧しさを理由に同級生からいじめを受けていた。すずは母の手術費用を捻出するため、盗みなどに手を染めていく。
ある日、一時帰宅をした母に暴力を振るった養父を殺害しようと、すずは自宅アパートに火をつける。たまたま外出していた悟志は一命をとりとめるも、すずは警察に「悟志が火をつけるところを見た」と嘘をつき、悟志は連行される。「家なき子」となったすずは、波瀾に満ちた人生を歩むことに…。
【注目ポイント】
言わずと知れた“天才子役”安達祐実をスターダムに押し上げた名作ドラマ。「同情するならカネをくれ!」と絶叫する姿と、中島みゆきによる主題歌「空と君のあいだに」とともに記憶している人も多いだろう。
ところがこの作品、地上波での再放送は行われていない(配信では視聴可能)。その理由は、過激ないじめの描写だと言われている。
同作は企画として野島伸司が関わっているのだが、当時の彼の作風は、残酷なまでに過激な描写で、特にいじめのシーンでは、陰湿かつ暴力的で、地上波再放送が不可能な作品も多い。その1つ、TBS系ドラマ『人間・失格~たとえばぼくが死んだら』(1994)では主人公・大場衛(赤井英和)の息子の誠(堂本剛)がいじめにより、ビルの屋上に追い詰められ、結果、飛び降りて死亡するというショッキングなシーンがあり、同様の理由で“再放送NG”となっている。
本作でも、当初は安達演じる相沢すずの担任にして、良き理解者であったものの、金の魔力に憑りつかれ、徐々にすずを敵視し、遂には殺害を計画する片島智之(保坂尚輝)が、第1話の中ですずを叱りながらビンタするシーンがある。そこで保坂は、安達の首がグニャリと曲がるほどの“ガチンコ”な演技を見せているのだが、とても、当時12歳の少女を相手にする行為としては、明らかにやりすぎ感は否めない。
とはいえ本作は、最高視聴率37.2%を記録し、前述の「同情するならカネをくれ!」が、同年の新語・流行語大賞にも選ばれるなど、人々の記憶に残る名作ドラマだ。加えて、安達自身も“子役は大成しない”というジンクスを、自らの頑張りで打破し、2児の母となった今でも活躍を続け、『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ系)では、ムロツヨシ演じる主人公にビシビシとアドバイスする強き女性を好演した。
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