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社会現象級…続編が観たい! 日本史上最高の民放ドラマ(2)最終回で終われない結末…日本一の脚本がすごい!

text by 寺島武志

毎年、数多くのドラマ作品が誕生する中、時として社会現象を巻き起こすこともある民放ドラマ。人気作品ほどシリーズ化し、長く愛される傾向が強い中、事情により単発で終了したり続編製作が不可能となってしまう名作も少なくない。今回は、今こそ続編が観たい名作民放ドラマ5本を厳選し、作品の魅力を解説しながらご紹介する。(文・寺島武志)

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4人の男女の会話劇がスリリングな魅力を放つ

『カルテット』(2017)

松たか子【Getty Images】
松たか子Getty Images

放送期間:2017年1月17日~3月21日
放送時間:火曜22:00~22:54
放送局:TBS系
脚本:坂元裕二
最高視聴率:11.0%
キャスト:松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平、吉岡里帆、富澤たけし、八木亜希子、Mummy-D、藤原季節、宮藤官九郎、もたいまさこ

【作品内容】

アマチュア演奏家の30代男女4人は、東京のカラオケボックスで練習していたところ、偶然出会い、弦楽四重奏のカルテット「ドーナツホール」を結成。

4人は、メンバーの一人の祖父が所有する軽井沢の別荘で、共同生活を送ることに。嘘のような偶然かと思われた出会いは、実は偶然ではなかった…。

本作が約5年ぶりの連ドラ出演となった松たか子をはじめ、満島ひかり、高橋一生、松田龍平の4人が“カルテット”を組み、実力派俳優たちが繰り広げる、ほろ苦い大人のラブサスペンスドラマだ。

【注目ポイント】

それぞれが秘密を抱え、次第にそれらが明かされていくサスペンス性に加え、キャストのセリフも秀逸で、中でもチャラいフリーター・家森諭高を演じた高橋一生と、音楽一家に育ちながら、自らはサラリーマンの道を選んだ別府司役の松田龍平の魅力によって、もっぱら女性視聴者に支持された。

一方で、ラブコメディでもある本作は、舞台演劇のような高度な会話劇も見どころだ。松たか子演じる早乙女真紀と、満島ひかり役の世吹すずめとの女性同士の駆け引きは、緊張感があり、目が離せない。

2人だけでなく、4人が演奏するライブレストラン「ノクターン」のアルバイト店員・来杉有朱を演じる吉岡里帆は、常に笑顔を絶やさずにいるもののその目は全く笑っておらず、腹の底が読めない魔性の女を演じ、「ドーナツホール」の面々に時おり刺すような発言をし、その後のぶっ飛んだ行動も含めて強烈なインパクトを残した。

その中で高橋と松田は、ギスギスした関係をなめらかにする潤滑油の役割を果たし、“コメディリリーフ”としても重要な存在となっている。

また、「からあげのレモンは不可逆」など4人での食事シーンは印象的な会話も多く、人間関係の本質的なことを考えされる点も本作の魅力と言えるだろう。

本作の脚本を担当した坂元裕二は、『東京ラブストーリー』で大ブレークを果たし、脚本家として多数のヒット作を世に送り出している。作風としては、余白の多いストーリーを描く印象がある。また、主役に限らずなるべく“当て書き”で脚本を書き下ろしているという。役者の魅力に沿ったセリフ選びと、独特の”余白”が視聴者に刺さる所以ではないだろうか。

2021年にも松たか子を主演に据え、『大豆田とわ子と三人の元夫』を執筆。また、是枝裕和監督の映画『怪物』(2023)の脚本を担当し、同作は第76回 カンヌ国際映画祭 脚本賞を受賞した。

4人の人間模様を描くことで、“物事の白黒はっきりした分かりやすさ”よりも多様性のあるストーリーで、制作陣が意図したものでなく視聴者がそれぞれ感じるもので、十人十色の感想を委ねたような“考察系ドラマ”の先駆け的作品だったともいえる。

本作も、“最終回のその後”が気になるエンディングで、続編が望まれる作品のひとつだが、その答えは一人ひとりが持っている…。そんな作品だったといえる。

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