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NHK朝ドラ『虎に翼』が期待以上の傑作になったワケ (5)ドラマ『ブギウギ』との意外な共通点とは?

text by 田中稲

各所で好評を博している、伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説『虎に翼』。本作は、日本初の女性弁護士になった人物の情熱あふれる姿を描く。物語は終戦を迎え、6月から新章がスタートした。今回は、放送開始から2か月にわたる物語を当時の文化史と共に振り返るレビューをお届けする。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

「うちのパパとうちのママが♪」を流行させたのは、
『ブギウギ』のタナケンのモデル・榎本健一

連続テレビ小説『ブギウギ』©NHK

 さて、寅子と学友たちとの青春テーマソング化していたのが、「うちのパパとうちのママが♪」という、少々ヘンテコな歌詞の歌である。

 この歌は、「モン・パパ」という曲。歌っていたのは、当時大人気だった歌手の二村定一と榎本健一の二人である。宝塚歌劇団でも歌われたが、当時大人気だった歌手の二村定一と榎本健一の二人も歌い、大ヒットした。榎本健一こと「エノケン」は一つ前の朝ドラ「ブギウギ」で生瀬勝久さんがいい味を出して演じていた「タナケン」のモデル。なんともさりげない『ブギウギ』とのリンクである。

 男尊女卑だった当時、「暴れて怒鳴るはいつもママ ハゲ頭下げるはいつもパパ」など、コテンパンにパパがやられるシーンを歌ったこの「モン・パパ」は、どう聞かれていたのだろう。多くの女性が男性に手柄を取られても悟ったように「すん……」と諦める顔を嫌っていた寅子にとって、心の応援歌だったのかもしれない。

 「胸ぐらを取るそれはママ パパの体はゆれるゆれる クルクルとまわされる」というサビの歌詞は、体勢こそ違うが、プロレスのジャイアントスイングを想像させ、なかなかの迫力だ。

(文・田中稲)

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