名作映画のオファーを蹴った!? 歴史に残る幻のキャスティング(3)まるでストーカー…女優の衝撃の行動は?
世界中で大ヒットを飛ばした、ハリウッドの名作たち。あのキャスト以外考えられない!というハマり役も多い中、元々は別の有名俳優が先にオファーされていた、という話は珍しくない。今回は、そんな有名役者がオファーを蹴った映画を5本セレクト。舞台裏から垣間見える、名俳優たちの役者としてのこだわりや戦略にも注目だ。(文・寺島武志)
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錚々たるライバルを蹴散らし、執念でもぎ取った超大作のヒロイン
候補→グウィネス・パルトロウ 抜擢→ケイト・ウィンスレット
『タイタニック』(1997)
上映時間:189分
原題:Titanic
製作国:アメリカ
監督:ジェームズ・キャメロン
脚本:ジェームズ・キャメロン
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、ビリー・ゼイン、キャシー・ベイツ、フランシス・フィッシャー、ジョナサン・ハイド、ビクター・ガーバー、マーク・リンゼイ・チャップマン、ユアン・スチュワート、ダニー・ヌッチ、デビッド・ワーナー、ビル・パクストン、バーナード・ヒル、スージー・エイミス、ジャネット・ゴールドスタイン
【作品内容】
1912年の処女航海中に北大西洋上で氷山に衝突し、当時世界最悪の犠牲者を出し、20世紀最大の海難事故となった豪華客船タイタニック号をモデルに、地位も境遇も違う一組の男女のラブストーリーの要素を交えて描いたスペクタクル超大作。
先ごろ、沈没したタイタニック号の残骸見学ツアーに向かった深海潜水艇「タイタン」が事故を起こし犠牲者を出したことでも話題となった。決していいニュースではないが、今でもタイタニック号が人々の耳目を集める存在であると再認識させる出来事であった。
【注目ポイント】
本作の見どころはなんといってもレオナルド・ディカプリオ演じる画家志望の青年・ジャックと、上流階級の令嬢・ローズを演じるケイト・ウィンスレットの美しくも儚い恋物語だ。
この作品によって、主演2人の人気を不動のものとしたといっても過言ではないだろう。
当初、悲劇のヒロインのローズ役にはグウィネス・パルトロウやジェニファー・アニストン、ドリュー・バリモア、クレア・デインズ、アンジェリーナ・ジョリー、ニコール・キッドマン、ユマ・サーマン、シャーリーズ・セロン、リース・ウィザースプーンなど錚々たる顔ぶれが候補として名前が挙がっていたという。
そこに割って入ったのが、ケイト・ウィンスレット。当時、ウィンスレットはまだハリウッドで知られた存在ではなかった。
そんな彼女が、本作の脚本を読む機会に恵まれ、読み終わった後に涙を流した彼女は、「ローズ役を絶対に演じたい!」と考え、事務所からキャメロン監督の電話番号を聞き出し、監督に電話をかけ、猛アピールが始まる。
ウィンスレットはキャメロン監督に、「私はこの役を演じないといけないのです。もし、私を配役してくれなかったら激怒します!」と、脅しに近いような言葉で必死に自らを売り込んだ。
それが功を奏し、なんとかウィンスレットは、ローズ役のオーディションを受けられることになる。そして、オーディションの後には、監督に「あなたのローズより」とカードを添えたバラの花束まで送る。ここまでくると、もはや“ストーカー”だ。
そして、この一連の行動によってキャメロン監督も心を動かされ、無名だったウィンスレットに賭けてみようと思わせることに繋がる。
そして、本作が世界中で大ヒットを飛ばし、ウィンスレットが押しも押されもせぬ一流女優になったことはいうまでもない。
もし、ウィンスレットがここまでの執念を燃やしていなかったら、彼女の女優人生は鳴かず飛ばずで終わっていた可能性もある。針の穴ほどのチャンスから、大作映画の主役の座をつかむまでの過程は、それだけで1本の映画が作れそうなほどだ。
さらにジャック役も、クリスチャン・ベールがオーディションを受けていたことや、ジョニー・デップ、ブラッド・ピット、マコーレー・カルキンの名前が挙がっていたといわれており、バーナード・ヒルが演じたスミス船長の役も、当初、オファーされていたのはロバート・デ・ニーロだったが、病気を理由にオファーを断ったとされている。
劇場公開から四半世紀が経過した作品ながら、テレビ放送されれば、今でも高視聴率を記録する本作。キャスティングの妙も含め、不朽の名作といわれる所以でもある。
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