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ラストが悔しいほど完璧だった…ドラマ『95』最終回が描いた希望とは? “絶望の時代”を描いたドラマ、総括レビュー&解説

text by 田中稲

テレビ東京開局60周年記念ドラマ『95』(テレ東系)が最終回を迎えた。 本作は、早見和真の小説を原作とし、主演の髙橋海人が1995年に起きたある出来事について回想する。今回は、青春の残酷と救いを隅々まで見せつくし、大団円を迎えた最終話のレビューをお届け。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

青春とは打ち上げ花火…。
『95』最終回が見せた”残酷”と”救い”

ドラマ『95』第10話よりⒸ「95」製作委員会
ドラマ『95』第10話よりⒸ「95」製作委員会

 青春とは決して楽しいものではない。残酷で、落とし穴もいっぱい。これまでの9回、それを見せつけられてきたので、最終回はバッドエンドだと覚悟していたのだが。

 まさか、こんな爽快感と開放感が用意されているとは思ってなかった!

 しばらく余韻が抜けない。なんたって、青春の残酷と救いを隅々まで見せてもらったのだから。

 渋谷打ち上げ花火計画を進めようとする秋久(髙橋海人)たちは、武闘派集団「キューティーハニー」に絡まれ、乱闘になる。

 たびたび彼らの前に立ちはだかる暴力軍団は、分かりやすい敵でもあり、世界の終わりをうっすらと期待していた1995年の荒みそのものだ。

 その乱闘で、秋久は、「銃」という、一発で決着がつく「銃」という、「ダセェ大人」の象徴で決着をつけようとする。巨大でクレイジーな大黒(勝矢)に銃口を向けるのだ。

 しかし翔(中川大志)が制止する。

「終わらせたくても続くんだよ世界は。だからQ、一人で行くな!」

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