『相棒』で最も面白い回は? 興奮必至…神戸尊編の神回(5)クローン人間誕生に激突…右京vs神戸の行方は?
優秀だが変人の刑事・杉下右京が、相棒と共に事件を解決していくドラマ『相棒』。2000年から2024年現在まで続くシリーズは約400話を超え、テレビドラマの他にも映画や演劇としても親しまれている。今回は、2代目相棒・神戸尊(及川光博)の回の中でも伝説的なエピソードをセレクト。その面白さの真髄に迫る。(文・Naoki)
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クローン人間誕生の事態に右京と神戸が激しくぶつかる
シーズン10「罪と罰」
放送日:2012年3月21日
脚本:輿水泰弘
犯人役:浅見 れいな
本作は“神戸尊の集大成”であると言える。
夫と幼い息子を事故で失った須賀茜。茜は自身の母親でバイオテクノロジー学の博士である嘉神郁子へ依頼し、息子のクローンを妊娠する事に成功する。しかし聖職者で茜の兄である隼斗はクローンに猛反対。
茜は兄を煩わしく思い殺害。第一発見者の郁子は娘の為に自身が殺したと警察へ出頭する。
特命係は捜査に取りかかり、真犯人が茜である事を突き止める。だが、ここで全ての真実を公表すれば出産予定の子供がクローンであることが世間に知られ、差別や偏見に晒されるのは避けられない。
神戸は真実を公表しようとする右京から茜を誘拐し、お腹の子供を殺すと右京を脅迫。神戸の覚悟を感じた右京は“相棒”を殺人犯にさせない為、初めて折れる。この杉下右京を挫いた功績は高く評価され、神戸は警察庁長官官房付へ異動となる。
私は「特命」「暴発」「罪と罰」この三本が“相棒”神戸尊のテーマだと考えている。
杉下右京と神戸尊が3年の歳月を経て衝突したり笑い合ったり互いを理解できるようになったからこそ、この物語が成立し得た。
最初は互いの考えを理解できずギスギス、あるいはチクリと言い合うだけだった2人が、互いの信念を理解した上で譲れないものを争うような関係になり、最後は相手の想いと覚悟を知った上でぶつかり合う。
“相棒”なのに争い対立するのかという意見もあるが、信頼しあっていても譲れない部分があるのが人間であり、そこで積み重ねられたドラマがあるから面白いのである。
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