ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 広瀬すずが2人の天才に翻弄される…根岸吉太郎監督、16年ぶりの最新作。映画『ゆきてかへらぬ』場面写真&コメントが公開

広瀬すずが2人の天才に翻弄される…根岸吉太郎監督、16年ぶりの最新作。映画『ゆきてかへらぬ』場面写真&コメントが公開

text by 日本映画

広瀬すず主演の映画『ゆきてかへらぬ』が、2025年2月に全国公開される。根岸吉太郎監督が16年ぶりにメガホンを取り、『ツィゴイネルワイゼン』(1980)などで知られる名脚本家・田中陽造がシナリオを手掛けた本作の場面写真とスタッフ、キャストによるコメントが公開された。

1人の女と2人の男。出口のない三角関係と壮絶な青春を描く――

©︎2025 映画ゆきてかへらぬ製作委員会

 映画『ゆきてかへらぬ』は、大正時代を舞台に、実在した男女3人の出口のない三角関係と壮絶な青春を描いた作品だ。

 駆け出しの女優、長谷川泰子は、のちに不世出の天才詩人と呼ばれることになる青年、中原中也と出逢う。どこか虚勢を張り合う2人は、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。その後東京に引っ越した2人の元を、中也の友人で、のちに日本を代表することになる文芸評論家、小林秀雄が訪ねてくる。偶然ともいえるその出逢いが、やがて3人の運命を狂わせていく――。

 本作のメガホンを取ったのは、『遠雷』(1981)、『探偵物語』(1983)、『ウホッホ探検隊』(1986)など、日本映画界を長年牽引してきた名匠、根岸吉太郎。脚本を執筆したのは、鈴木清順監督の「浪漫三部作」(『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』(1981)、『夢二』(1991))や『セーラー服と機関銃』(1981)など、数々の映画で異彩を放ち続けてきた名脚本家、田中陽造だ。

 根岸いわく、田中による本作の脚本は、40年以上前に書かれたもので、多くの監督たちが映画化を熱望しながら長い間実現することができなかった、いわば「知る人ぞ知る」幻の脚本であるという。

©︎2025 映画ゆきてかへらぬ製作委員会

 主演を務めるのは、女優、広瀬すず。本作において、1970年代から疾走してきた日本映画界のトップランナーたちと邂逅することとなった。そうして生まれたのは、中原中也と小林秀雄という生粋のアーティスト2人の愛に狂わされながらも、自身の夢と格闘しつづけた、真っさらで潔い女性の肖像である。

 女性/男性の枠を超え、互いをリスペクトしているからこそ生じる軋轢と混乱を見事に表現し、女優としての新境地を拓いた。

©︎2025 映画ゆきてかへらぬ製作委員会

【コメント】

■広瀬すず(主演)/長谷川泰子(はせがわ やすこ)役

 今回演じた長谷川泰子は、大正というモダンな時代を自由にというか、必死というのか、無謀に駆け抜けた女性でした。本当に体力のいる役でした。根岸監督はこの作品が16年ぶりの長編映画と聞いておりましたが、それを感じさせない程、現場では監督の体力が一番すごかったですね。根岸監督の映画づくりというものを、この目で見て、体感して、とても贅沢でした。是非、ご期待ください。

■根岸吉太郎(監督)

 大学で学生に映画を教えたり共に学んだりしているうちに、時があっという間に過ぎ去り16年ぶりの長編映画となりました。『ゆきてかへらぬ』は多くの監督や演出家が映画化したいと望んでいた知る人ぞ知る田中陽造さんの珠玉のシナリオです。これを託され5年の準備期間を経て素晴らしいキャストに恵まれ完成しました。

 今回のすずさんは奥深いところで役を捉え、まるで泰子という主人公に憑依したかのようです。誰も見たことのない泰子の「広瀬すず」がここにいます。大正から昭和へ移る時代を舞台に、ひとりの女とふたりの男の、奇妙な三角関係と真摯で壮絶な青春を描いた作品です。ぜひ、今の時代に青春を送る若者たちに観ていただきたいです。

■田中陽造(脚本)

 女優と詩人と批評家の、二度と戻れない青春時代を描いた映画です。40年以上も前に書いた脚本ですが、今の時代に共鳴してくれればと願います。

【作品情報】

監督:根岸吉太郎 脚本:田中陽造 主演:広瀬すず
©︎2025 映画「ゆきてかへらぬ」製作委員会
配給:キノフィルムズ

【関連記事】
「ずっと彼に片思いしている気持ちでした」映画『言えない秘密』古川琴音インタビュー。初挑戦となったラブストーリーへの思い
謎めいたラストをわかりやすく解説。映画『悪は存在しない』徹底考察&評価レビュー。濱口竜介最新作の真の恐ろしさとは?
役者・大泉洋が新境地を開拓…定番の”難病モノ”にはない魅力とは? 映画『ディア・ファミリー』考察&評価レビュー

error: Content is protected !!