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最も演技が上手い30代俳優は?圧巻芝居で魅せるカリスマ(5)恥ずかしいほど美しい…全てを超越した天才は?

我々の心に残る一作の映画。そこにはいつも、洗練された技術を持つ俳優たちがいる。彼らの芝居は、大勢の観客の生きる希望となり、羨望の眼差しを集める。なぜか惹きつけられる彼らの魅力はどこから来るのだろうか? 今回は、今最も演技が上手い30代の俳優を5人セレクトして、おすすめの映画と併せてご紹介する。(文・野原まりこ)

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全てを超越した当代一の天才俳優

●森山未來

森山未來
森山未來Getty Images

森山未來の芝居は、恥ずかしいくらいに情けなくて、かっこよくて、美しい。全てをさらけ出す姿は、もはや神秘的とすら思える。

そんな神がかった演技を見せる森山は、母親が経営するダンススタジオで5歳からダンスを始め、俳優業は15歳の頃より開始する。映画『世界の中心で、愛をさけぶ』や、『モテキ』など、彼の出演する作品はことごとくヒット。

庵野秀明監督作『シン・仮面ライダー』に出演した際は、オーディションにきた森山のために、庵野秀明が脚本を加筆したというエピソードもある。

NHKBSプレミアムで放送されたドキュメンタリー番組『シン・仮面ライダー ~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~』では、庵野秀明の無茶な要望によって主要キャストの池松壮亮、柄本佑、森山未來が車座になり、アクションシーンを作り上げていった様子が見られる。

かなり苦労した様子がヒシヒシと伝わってくる内容だが、本編では圧倒的な熱量がスクリーンを通して伝わってくる、技術だけではない森山未來の生き様を見ることができる。

そんな森山未來が出演するオススメの一本を紹介しよう。

●森山未來の演技を堪能するためのお勧めの一本

『怒り』(2016)

東京で、奇妙な殺人事件が起こる。犯人は現場に血で書いた「怒」という文字を残し、逃亡。整形した犯人は今もなお見つかっていない。

それから1年後、千葉で漁師として働く洋平(渡辺謙)と、その娘の愛子(宮崎あおい)の前に田代(松山ケンイチ)という青年が現れる。一方東京では大手企業に務める優馬(妻夫木聡)が直人(綾野剛)という男と知り合う。

そして沖縄では、女子高生・泉(広瀬すず)が無人島で田中(森山未來)という男と出会う。

しかし警察が公開した犯人の顔写真は、どことなく出会った男に似ていた…。

3つのストーリーが同時進行しながら、徐々に人間の心の内が歪んでいくような作品で、かなり重めな内容。精神的に余裕のある状態で見なければ、なかなか心に負担がかかってしまう側面もある…。

しかし、役者、脚本、監督全ての要素が素晴らしい作品であることは間違いないため、まだご覧になってない方はぜひ観てほしい一作だ。

あまり書くとネタバレになってしまうため詳しい記述は控えるが、本作の森山未來は表情、動き、存在感全てが計算し尽くされていると感じる。というのも、計算くさい演技というわけではない。

ナチュラルすぎて何も違和感を感じないレベルで、逆に最初は他の出演者より目立たないような印象も受けた。しかし衝撃的なラストへ向かって解放されていく芝居は、確実に胸をえぐられるはずだ。

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