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『アンメット』忘れられないベストシーンは? 全11話中、最も心震えた名場面(2)アクシデントを味方につけた千葉雄大の名演

text by 菜本かな

ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)が完結を迎えた。本作は、主演を務めた杉咲花を筆頭に演技派の俳優陣による名芝居と、実績のある制作スタッフの細部まで考え抜かれた渾身の演出により、視聴者の涙を誘った。今回は、全11話の中で最も視聴者を惹きつけた名シーンを5つ厳選してご紹介。(文・菜本かな)

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【著者プロフィール:菜本かな】

メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。

千葉雄大の感極まった名演が素晴らしかった

第5話 ミヤビに全科専門医レベルを目指す理由を明かす星前

『アンメット』第5話より ©カンテレ
『アンメット』第5話より ©カンテレ

 テレビドラマでは、演者がセリフを噛んだり、イントネーションを間違えた場面をそのまま放送することはなかなかない。しかし、第5話では、星前を演じる千葉雄大がセリフを噛んだシーンがそのまま使われていた。ここに、『アンメット』らしさを感じた人も多いのではないだろうか。

 このシーンで星前は、なぜ全科で専門医レベルを目指しているのか? そのきっかけとなったエピソード(母親が専門医にたらい回しにされた挙句、倒れてしまった過去がある)を、ミヤビに明かしていた。そのときに感じた苛立ちや、目標になかなか届かないことの悔しさ。どこにもぶつけられないモヤモヤした気持ちを、星前は声を震わせながらミヤビに訴える。

 心の奥をさらけ出すような場面だからこそ、セリフを噛むのはリアルだし、「たしかに、こういう話をしている時、端正に淀みなく喋ることはできないよなぁ」と共感した。もちろん、千葉もわざと噛んだわけでなく、役に入り込み、感極まったがゆえに言葉に詰まったわけで、またやり直したとしても、きっと同じ演技にはならない。たまたま生まれたものだからこそ、胸に迫る芝居になったのだ。

 リアリティを追求してきた『アンメット』だからこそ、世に送り出せた名シーン。千葉雄大の役者としての凄みを改めて感じた瞬間でもあった。

(文・菜本かな)

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