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鳥肌立つほど凄まじい…大河ドラマ史上、演技が上手かった主演俳優(4)絶句する緊張感…圧倒的な名優とは?

text by 寺島武志

毎年、誰が主演を務めるのか大きく期待される大河ドラマ。歴代の大河ドラマで主演を務めた役者も、大きなプレッシャーや難題に打ち勝ち、1年間1人の偉人の生涯を演じきるのだ。その姿に視聴者は感動し、賛辞を送る。そこで今回は、近年の大河ドラマで主演を務めたベスト俳優を5人セレクトして紹介する。(文・寺島武志)

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新たな明智光秀像を演じ切り役者としてのターニングポイントに

●長谷川博己『麒麟がくる』

長谷川博己
長谷川博己Getty Images

放送期間:2020年1月19日~2021年2月7日
脚本:池端俊策、前川洋一、岩本真耶、河本瑞貴
他キャスト:染谷将太、佐々木蔵之介、風間俊介、高橋克典、濱田岳、吉田鋼太郎、門脇麦、木村文乃、川口春奈、石川さゆり、堺正章、本木雅弘、西村まさ彦、間宮祥太朗、徳重聡、檀れい、眞島秀和、芦田愛菜、安藤政信、駿河太郎、向井理、滝藤賢一、谷原章介、国広富之、片岡鶴太郎、坂東玉三郎、本郷奏多、小籔千豊、石橋蓮司、春風亭小朝、伊藤英明、片岡愛之助、ユースケ・サンタマリア、榎木孝明、石橋凌、尾野真千子、陣内孝則、岡村隆史

【作品内容】

戦乱の世、美濃の斎藤道三を主君として、その教えを胸に、やがて織田信長の盟友となり、多くの群雄と天下をめぐって争った智将・明智光秀。彼の謎めいた半生に光を当てながら、織田信長、今川義元、そして豊臣秀吉、徳川家康といった、後の英傑たちの運命を描いている本作。

若き日の光秀は、ボロボロのあばら家で子どもたちに学問を教えることで生計を立てていた。足利義輝の死によって、僧侶の経験しかなく武家の棟梁としての能力が未知数なまま将軍となった足利義昭の民への慈悲心に感じ入り、信長の家臣要請を断ってまで義昭を将軍として陰から支え、室町幕府の奉公衆に加わるのだが…。

【注目ポイント】

新型コロナによる撮影中断や、東京五輪中継の影響で、異例の“越年大河”となった本作。しかし、本能寺の変によって“謀反者”というイメージが染みついた光秀の人となりや、戦国時代を室町幕府からの目線で描くなど、画期的な脚本が受け入れられ、高視聴率をキープし続けた。

明智光秀役に長谷川博己をキャスティングしたのは、チーフ脚本家の池端俊策直々の希望だったという。その理由は「人間の内面を表現できる俳優」というもので、納得できるものだ。

本作最大の見どころは、染谷将太演じる織田信長とのやり取りだろう。信長がきゅうりを食べながら馬に乗って、海に現れ、砂浜に魚を並べ、町人たちに売る邂逅シーンでは、世に不満を感じていることから意気投合。信長は親にも兄弟にも愛されなかった孤独を抱えた人物であり、精神的な「似た者同士」である信長と光秀は二人三脚で世を動かしていく。

しかし、権力を持った信長は変節し、そんな姿に失望した光秀は、信長に刃を向けるのだが、攻めてきたのが光秀だと知った信長は「そうか、十兵衛(光秀)か…。であれば是非もなし」と笑う。このシーンにおける染谷の演技と、苦悩の表情を浮かべながら炎上する本能寺を見つめて涙を浮かべる長谷川の表情は観る者に絶句を強いる壮絶さだ。

息を飲むほどの緊張感で新たな明智光秀像を演じ切った長谷川の役者としての評価は、本作を機にうなぎ上りになったことは周知の通りだ。

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