発想が天才的…もしも人気芸人のネタが映画化されたら? 構成が素晴らしいコント・漫才5選。現役放送作家がガチ妄想
漫画や小説に材をとった映画が次々と制作される中、バカリズムを始めとするお笑い芸人が脚本を担当するドラマ作品が増えている。今回は、構成に唸った伝説的なネタを5つ紹介し、「その芸人のネタそのものが映画化したら…」という名目で、現役放送作家が本気で映画を妄想企画する。(文・前田知礼)
————————
【著者プロフィール:前田知礼】
前田 知礼(まえだ とものり)。1998年広島県生まれ。2021年に日本大学芸術学部放送学科を卒業。制作会社での助監督を経て書いたnote「『古畑任三郎vs霜降り明星』の脚本を全部書く」がきっかけで放送作家に。現在はダウ90000、マリマリマリーの構成スタッフとして活動。ドラマ「僕たちの校内放送」(フジテレビ)、「スチブラハウス」、「シカク(『新しい怖い』より)」(CS日テレ)の脚本や、「推しといつまでも」(MBS)の構成を担当。趣味として、Instagramのストーリーズ機能で映画の感想をまとめている。
バカバカしくもドラマチックな展開は映画化するにふさわしい
●空気階段『火事』
「何言ってんだ!俺はなぁ、これくらいの熱さ慣れっこなんだよ!」
『キングオブコント2021』の決勝で披露された『火事』は、火災が発生したビルの中にあるSM店で出会った警察官と消防士が、ブリーフ姿のまま人命救助に努めるコントだ。自分を追い込むことに慣れたドMの2人による決死の救出劇を描いた、バカバカしくもドラマチックな傑作コントだ。
このコントの映画化には、映画『海猿』シリーズの羽住英一郎監督が適任だろう。水川かたまり演じる警察官・岡本を横浜流星、鈴木もぐら演じる消防士・崎山をNetflixドラマ『サンクチュアリ-聖域-』(2023)の一ノ瀬ワタルに演じていただきたい。
そして、長編映画にするにはコントの前後も語る必要があるだろう。崎山と岡本の普段の働きぶりや、SM店が入っているビルから火が出た原因、そして救出後の店での再会まで、画になりそうな場面はたっぷりある。
「純白のブリーフの汚れは勲章の証」的なしょうもない格言が、ヒーローとなった彼らを讃える言葉にもなるという、意味が反転する感動のラストも作れそうだ。
燃えたぎる炎の中を、ブリーフ姿の男たちが疾走するクライマックスでは、本家よろしく爆音MISIAで盛り上げる。
バカで変態、だけど強くてかっこいい。そんな人命救助ディザスタームービーの金字塔になることだろう。諸事情で『海猿』が撮れない今こそ、2人の勇敢なM猿の活躍を撮ってほしい。