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世界中の映画祭で注目を浴びる。坂本龍一の息子・空音央の長編劇映画デビュー作『Happyend』のキャスト11名が発表

text by 編集部

世界中の映画祭から注目を集めた新鋭・空音央監督の長編劇映画デビュー作『Happyend』が10月4日(金)より公開される。オーディションで主演に大抜擢された栗原颯人、日高由起刀をはじめとする11名のキャストが一斉に発表された。さらに監督によるコメントも公開となった。

新鋭・空音央監督が描く異色の青春映画

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 本作は、幼馴染で大親友の2人が、高校卒業を控え、自分自身と向き合いはじめたことで、友情の揺れ動きや葛藤が生じるサマをエモーショナルに描いた青春映画だ。

 監督を務めるのは東京とニューヨークの2拠点を活動軸とし、短編映画、ドキュメンタリー、PV、アート作品、コンサートフィルムなどジャンルレスに数多くの作品を手掛けてきた空音央。志賀直哉の短編小説をベースにした短編映画『The Chicken』(2020)はロカルノ国際映画祭でワールドプレミア後、ニューヨーク映画祭など名だたる映画祭で上映された。

 また今年日本公開された坂本龍一のコンサートドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』は、ヴェネツィア国際映画祭でのワールドプレミア以降、山形、釜山、ニューヨーク、ロンドン、東京と世界中の映画祭で上映、絶賛されるなど世界中から注目を集めている。

 主人公のユウタとコウを演じたのは、栗原颯人と日高由起刀。共にオーディションで大抜擢され本作でスクリーンデビューを果たした。栗原は、明るい性格の持ち主であるユウタを茶目っ気たっぷりに演じ、日高は、自らの進路や社会について考えるようになるコウの心の機微を繊細に表現している。

 また2人と仲の良い同級生役として、公開作が相次ぐ注目の若手俳優、林裕太、フォトグラファーとして国際的に活躍中のシナ・ペン、大学での学業に励みながら演技に初挑戦したARAZIが出演。さらに、祷キララ、中島歩、矢作マサル、渡辺真起子、PUSHIM、佐野史郎ら実力派キャストが脇を固める。

【監督コメント】

 友情とは曖昧なもので、恋人や家族のような規範がありません。人によっては、いつもの風景に溶け込んで、たまたま同じような音楽を好み、お酒を介して理解し合える相手もいれば、真剣な話だけをする相手もいます。しかし、どんな形であれ、友人に対する愛や信頼が深いほど、その相手に落胆した時に湧き上がる怒りや悲しみは凄まじいものです。勢い余って関係を断ち切ることもあれば、知らず知らずのうちに断ち切られることもあります。そうなると、自分が乗っかっていた地盤がガラガラと崩れ落ちるような感覚に陥ることがあります。

 そんなことを考えながら、この映画を思い立ったのだろうと思います。メモを見返すと、記録として残っている中で最も古いものが2017年でした。つまり、7年かそれ以上前からこの映画の構想を練り始めたようです。その時の社会や世界が変わらず、そのまま進んだ少し先の未来を想像しました。恐怖を煽り、軍国主義的な独裁国家へと着実に向かってゆく日本を舞台に、それまで自分の中に蓄積されていた危機感や揺らぎ、そして自分にとってなくてはならない、地盤ともいえる友人たちに対する愛を投影しました。

 自分が想像した近未来像が間違っているといいなと願いながら脚本を書いていましたが、出来上がった映画を見てみると、なんだかどんどん現実味を帯びてきているようで、すこし残念です。同時に、そのような状況だからこそ、素晴らしいキャストとスタッフと一緒に、色んな人にいま見てほしい映画に仕上げることができたと思っています。劇場公開できることを本当に嬉しく思います。

【Story】

 いたずら好きで常に楽しいことだけをしていたいユウタとコウは、幼馴染で大親友。毎日が楽しければいい、そう思っていた。しかし高校卒業と進学を控え、身の回りに起きている出来事がきっかけで、コウは社会における自分の立ち位置について考えるようになる。そんなある晩、いつものように学校に忍び込んだ2人。そこでユウタはあるとんでもないいたずらを思いつく。翌日いたずらを発見した校長は大激怒、学校に四六時中生徒を監視するAIシステムを導入する騒ぎにまで発展してしまう。それに対する生徒たちの反発運動も巻き起こる中、ユウタとコウの関係もぎくしゃくし始め…。

【作品情報】

栗原颯人 日高由起刀
林裕太 シナ・ペン ARAZI 祷キララ
中島歩 矢作マサル PUSHIM 渡辺真起子/佐野史郎
監督・脚本:空音央
撮影:ビル・キルスタイン 美術:安宅紀史
プロデューサー:アルバート・トーレン、増渕愛子、エリック・ニアリ、アレックス・ロー
製作・制作:ZAKKUBALAN、シネリック・クリエイティブ、Cinema Inutile
配給:ビターズ・エンド
日本・アメリカ/2024/カラー/DCP/113 分/5.1ch/1.85:1
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