発想が天才的…映画化してほしい芸人のネタは? プロが解説(3)M-1史上最高の漫才…映像化なら傑作に?
text by 前田知礼
漫画や小説に材をとった映画が次々と制作される中、バカリズムを始めとするお笑い芸人が脚本を担当するドラマ作品が増えている。今回は、構成に唸った伝説的なネタを5つ紹介し、「その芸人のネタそのものが映画化したら…」という名目で、現役放送作家が本気で映画を妄想企画する。(文・前田知礼)
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映画化したら苦悩や哀愁が漂う傑作になること間違いなし
●笑い飯『鳥人』
「友達の証にこのタキシードの胸元を開いて、人間の体と鳥の頭のちょうど境目を見せてあげよう」
『M-1グランプリ2009』で披露された『鳥人』は、審査員から大会史上初得点の「100点」を叩き出し、今なお伝説として語り継がれている伝説のネタだ。夏祭りのヒヨコ屋台を舞台に、鳥好きな子どもの前に現れる、上半身が鳥の英国紳士風の男〈鳥人〉を、Wボケのスタイルで演じていく。
この漫才を映画化する上で、ダークファンタジーの巨匠・ギレルモ・デル・トロ監督にメガホンをとってもらいたい。第79回アカデミー賞を受賞した映画『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)の半魚人のような〈彼〉、『パンズ・ラビリンス』(2006)の手に目玉がついや生物〈ペイルマン〉を生み出したデル・トロ監督の手にかかれば、上半身が鳥で下半身が人間の〈鳥人〉も、きっと怪しくて美しい、そんな魅力的なキャラクターになることだろう。
また、『ナイトメア・アリー』(2022)に登場するカーニバルのような怪しい一座に、鳥人が見世物として連れて行かれるといった展開も作ってくれそうだ。
そして、日本のポップカルチャーに造詣の深いデル・トロ監督なら、「鳥人」の設定の源流にあるであろうコント番組『ごっつええ感じ』(フジテレビ)の人気コント「トカゲのおっさん」にも辿り着き、半分人間(獣人)ならではの、苦悩や哀愁、それが生む「笑い」が味わえる作品にしてくれるかもしれない。
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