人気芸人の伝説ネタが映画化されたら? 放送作家がガチ妄想(4)発想が凄い…シュールコントの傑作中の傑作
text by 前田知礼
漫画や小説に材をとった映画が次々と制作される中、バカリズムを始めとするお笑い芸人が脚本を担当するドラマ作品が増えている。今回は、構成に唸った伝説的なネタを5つ紹介し、「その芸人のネタそのものが映画化したら…」という名目で、現役放送作家が本気で映画を妄想企画する。(文・前田知礼)
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コントの名手によるメタシュールのパロディコント
●ザ・ギース「コント! 劇的ビフォーアフター」
「なんということでしょう。このコント最大の問題点、さかなクンの要素をばっさりカット」
続いて紹介するのは、『キングオブコント2015』の決勝で披露された、ザ・ギースの『コント! 劇的ビフォーアフター』だ。
こちらかなり変わった構造のコントとなっている。冒頭1分で「犬小屋や岩、学習机に巨大チェスが雑多に置かれた場所に、さかなクンが銀行強盗としてやって来る」という設定のコントをただ見せられ、暗転を挟んでバラエティ番組『大改造!劇的ビフォーアフター』(朝日放送)ばりに、匠によって大幅に見やすく改造されたコントを見せられる。
シュールコントの名手であるザ・ギースならではの、メタシュールパロディコントだ。
このコントの映画化を頼める監督は、1人しかいない。そう、『カメラを止めるな!』(2018)の上田慎一郎監督だ。「コント!劇的ビフォーアフター」の仕掛けは、まさに『カメ止め』そのもの。
映画版ということで、大改造するのは「コント」ではなく「映画」に変更するのはいかがだろうか。第1幕で「違和感しかない映画」を見せて、第2幕で「映画の匠」が登場してリフォーム開始。第3幕で映画を完成させようと奮闘するキャストやスタッフたちを描く。
『カメ止め』で上田監督は、“ぎり見てられる長いフリパート”を「ワンカットゾンビ映画」という手法で乗り切った。ザ・ギース原作の『映画! 劇的ビフォーアフター』では、どんな驚きが待っているのだろうか。
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