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「村上春樹は本質的に世界的な作家」アニメ映画『めくらやなぎと眠る女』ピエール・フォルデス監督インタビュー

村上春樹原作初の長編アニメ映画『めくらやなぎと眠る女』が、7月26日(金)よりユーロスペース他で全国公開される。本作は、村上春樹の6つの短編作品を1つの長編に再構築した物語。今回は、監督を務めたピエール・フォルデスさんにインタビューを敢行。作品に込めた思いや、村上文学の魅力など、お話を伺った。(取材・文:あさかしき)

フォルデス監督から見た村上春樹の魅力とは

ピエール・フォルデス監督
写真:NANA

―――本作は、村上春樹さんの短編小説を翻案したアニメーション作品です。今回の企画の経緯を教えていただけますか。

「まず翻案というコンセプトが私は好きなんです。そして村上文学が元々大好きでして、村上文学を翻案するのは私にとって必然的なことでした。実は、当初は実写とアニメを混ぜた作品になる予定だったのですが、少しずつ作業していくうちにフルのアニメ作品という形に着地しました」

―――フォルデス監督から見て、村上春樹作品のどんなところに魅力を感じますか?

「たくさんありますが、まず村上春樹さんは、非凡な日常描写によって存在論のようなものを描いていると思います。村上文学の独自の世界観は、村上さんご自身の特別なスタイルによって生み出されてるものですが、あの世界観に触れると、なんというか、言葉では表現できないものが自分の中で呼び起こされるのを感じるのです。そういう言葉では表現できない感情を呼び起こす力に魅了されています」

―――本作は日本が舞台でありながらも、ロケーションなどに西洋的な要素を感じます。個人的に、村上春樹作品を読むときは、舞台が日本であってもどこか西洋的な世界をイメージすることが多いので、作品を拝見してまるで村上春樹の世界にいるような感覚を覚えました。

「ありがとうございます。これはあくまで私の個人的な解釈ですが、村上文学は、勿論日本に根ざしていながらも、アメリカ・ヨーロッパなどの西洋文化を浴びており、村上春樹さんは本質的に世界的な作家であると考えています。私は普段、英語で村上文学を読んでいて、村上文学のカジュアルなところが好きですし、それこそが村上文学の本質だと捉えています。

この作品は確かに日本が舞台ではありますが、現実の日本をそのまま描いているわけでなく、私自身の日本へのある種の幻想というか、“私にとってのジャポニズム”を表現した世界です」

―――本作は、実写撮影をベースとした製作技法を使用されたとのことですが、撮影はどちらで行われたのですか?

「撮影場所はモントリオールで、実際に演じたのは、英語を母国語とする俳優たちです。私にとって、現実の俳優の動きをベースにアニメーションを作るというこのスタイルはとても重要なのですが、彼らとの撮影は本当に素晴らしい経験になりました」

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