高畑充希”定子”が死亡…視聴者を巻き込む愛されキャラになったワケ。 NHK大河ドラマ『光る君へ』第28話考察レビュー
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。道長は娘・彰子を入内させるだけにとどまらず中宮にすることを目論み、史上初の「一帝二后」が誕生する。今回は、第28話の物語を振り返るレビューをお届けする。【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】(文・苫とり子)
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
史上初とされる「一帝二后」の誕生
まひろ(吉高由里子)は無事に道長(柄本佑)との子を出産した。宣孝(佐々木蔵之介)は娘に賢子と名付け、約束通り我が子として育て始める。
同じ頃、宮中では定子(高畑充希)が皇子を出産。道長の娘・彰子(見上愛)が入内したばかりにもかかわらず、一条天皇(塩野瑛久)の気持ちはますます定子へと傾く。そこで、国家安寧を願う道長は彰子を中宮にし、定子と后を二人にする「一帝二后」を目論んでいた。
当然、定子をただ一人の妻として愛する一条天皇はこれを拒むが、彰子の主体性の無さに触れて気持ちが揺らぐ。己の気持ちを聞かれても「仰せのままに」としか答えない彰子。幼くして左大臣の娘として生まれた定めを静かに受け入れているような姿が、一条天皇は母・詮子(吉田羊)の言いなりだった幼き日の自分と重なったのだ。
それをきっかけに一条天皇は彰子を中宮にしてもいいかと思い始めるが、まだ心が定まっていなかった。そんな折、勝負に打って出たのが行成(渡辺大知)だ。政治の頂に立って以降、働きづめだった道長。大事な娘を一条天皇に生贄として捧げることになり、心労も大きかったのかもしれない。ここのところ道長は体調があまり良くなかった。
行成はずっとその姿をそばで見てきた上に、道長は自分を右腕として大事にしてきてくれた。だから、ここは自分が言わねばならぬと思ったのだろう。定子が出家して以降、本来ならば皇后が担うべき神事が滞っていることが神の怒りを買っているとして、一刻も早く彰子を中宮にするように迫る。これまでは控えめな印象があった行成だが、腹をくくって天皇に意見する姿は勇ましかった。渡辺大知の目に涙を溜めた名演がその覚悟の強さを物語る。
これによって一条天皇は心を決め、史上初の「一帝二后」が誕生。一条天皇の定子への寵愛ぶりをよく思わない公卿たちは誰も前代未聞の決定に異議を唱えなかった。定子も一条天皇の立場も考えず、自分の家のことばかり考えてきたことを詫び、「彰子さまとご一緒の時は私のことはお考えになりませぬよう」と伝える。