『宇宙戦艦ヤマト』最新作、軍事ライターによる評価は…? 映画『ヤマトよ永遠に REBEL3199』徹底考察&解説レビュー
50年の長きに渡り、子どもたちの心をつかんできた『宇宙戦艦ヤマト』。そのシリーズ最新作『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第一章 黒の侵略』が公開中だ。「ヤマト」未体験の軍事ライターが、「ヤマト」の世界を体験。新鮮な驚きと感動を筆にしたためた。(文・宮永忠将)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:宮永忠将】
昭和48年生まれ。上智大学文学部史学科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科中退後、雑誌編集者、Waargaming.netの品質保証担当などを経て、現在はフリーランスで執筆、編集、翻訳や映画、アニメーション、ゲーム作品の監修などを手がけている。第二次世界大戦を中心に軍事全般を扱うが、現在は世界的に進む欧州戦史の再評価を咀嚼して、日本のミリタリーシーンに紹介する活動に力を入れる。主著『ウォーズ・オブ・ジャパ¥ン』(偕成社)、『ファンタジー世界構築教典』(宝島社)など。Youtube「宮永忠将のミリタリーアーカイブ」を運営中。
「ヤマト」に息づく昭和の記憶
『ヤマトよ永遠に REBEL3199』のレビュー依頼をいただいたとき、嬉しかった反面、尻込みが先に立った私は、最初は辞退した。なぜならば私は「宇宙戦艦ヤマト」シリーズを見たことがないからだ。
令和になってもう6年目。昭和生まれというものがかなり雑にくくられはじめているのを感じる昨今であるが、昭和のレイヤーは深い。昭和48年生まれの筆者には、生まれたときにはすでにテレビはカラーだったし、長嶋茂雄は引退間近。プレスリーはかなり太っていたし、最初のオリンピックの記憶は84年のロサンゼルス大会だ。昭和だからと、全てのコンテンツを踏んできたわけではないのである。
「ヤマト」についても、物心付いたときにはすでにオリジナルのテレビアニメシリーズは終わっていたけれど、同級生の間で盛り上がっていたという記憶もない。ところが3~5年年上の先輩諸兄はおしなべてヤマトが大好きで、今でも熱く語り、また「ヤマトことば」を共通言語のように使っているので、おそらく昭和40年代生まれの前半と後半で、ヤマト認識は大きく異なるのだろう。
ところが、見方を変えると、ヤマトにまったく触れていなかったところに価値が出てくるという。どういうことか?