史上最も胸糞が悪い学園モノ日本映画は…？（1）大女優が生々しく恐ろしい…観客の心をえぐる衝撃の傑作

2024/08/03

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『告白』(2010)

原作：湊かなえ
監督：中島哲也
脚本：中島哲也
出演：松たか子、岡田将生、木村佳乃、橋本愛、藤原薫、西井幸人

作者・湊かなえによるベストセラー小説を、2010年に映画化した作品。監督に中島哲也、主演に松たか子、岡田将生、木村佳乃など、日本を代表する俳優陣が脇を固め、第34回日本アカデミー賞で4冠を達成した。

また、R15＋指定を受けている作品にも関わらず、2010年度に日本で公開された日本映画のなかで興行収入で第7位を獲得し、大成功をおさめた。

物語の構成は、愛娘を殺された女性教師（松たか子）、教室の中にいる第三者の女生徒（橋本愛）、担任の娘を殺し、クラスからいじめの標的になって鬱になった少年B（藤原薫）、少年Bの母親（木村佳乃）、もう1人の加害者少年A（西井幸人）の5名それぞれの目線から描かれる。

本作は中学校を舞台にした物語であり、生徒2人によって自分の愛娘を殺された女性教師の復讐を描く作品だ。

学校という閉鎖的な空間は、集団心理や青春期特有の感情を描くのに打ってつけ。未成年は、集団の中で全体に影響し合い、時には過激な行動をとることもある。

殺人が発覚した際、ショーゴと直也を他の生徒たちが迫害するシーンには、思春期特有の残酷さがリアルに描かれている。

本作は、未成年の心理、教育システムの課題、親子関係の複雑さ、少年法の矛盾など多くの要素が絡み合い、観客に深い印象を与える作品に仕上がっているのが特徴だ。

特に森口（松たか子）のパートは、回想シーンはあるものの、ホームルームを行う教室内に舞台が限定されており、観る者に息苦しさをもたらす。

初めはダラダラと森口の話を聞いていた生徒も、話の中盤からは他人事じゃないと、不安に駆られていく過程がリアルだ。

森口の復讐は、端的に犯罪であるが、「我が子の命を奪われた母親の復讐」であり、倫理的には許されなくとも、心理的には理解出来る。

未成年特有の倫理観不足、集団心理の恐ろしさ、罪悪感などを加え「母の怒り」も本作に深みを持たせる重要な要素である。