今年の夏は例年よりもさらに暑く感じる。外に出て、海やプールに入ったりして涼しむのもいいが、クーラーの効いた家や映画館でゆっくり映画を観るのもいいだろう。今回は、暑い夏にピッタリな映画5本をセレクト。ノスタルジックな雰囲気の作品や、甘酸っぱい作品を紹介する。（文・シモ（下嶋恵樹））

ーーーーーーーーーーーー

【著者プロフィール：シモ（下嶋恵樹）】

東京都出身。横浜市在住。転職5回のサラリーマン生活を経て、フリーランスのライターに。地域情報サイトでの取材記事や映画サイトでの映画紹介記事、ビジネス系記事など、さまざまな執筆の経験あり。現在は、インタビュー記事などにも挑戦中。映画は幅広い国の映画を鑑賞。好きな映画は、『ニュー・シネマパラダイス』『イル・ポスティーノ』『パリ・テキサス』。

プールでのシーンが美しい。岩井俊二監督の名作ドラマ

『打ち上げ花火、下から見るか 横から見るか』（1993）

製作国：日本
上映時間：50分
監督：岩井俊二
脚本：岩井俊二
出演者：山崎裕太、奥菜恵、反田孝幸、小橋賢児、石井苗子、田口トモロヲ、蛭子能収

【作品内容】

「打ち上げ花火は横から見ると丸いと思うか、平べったいと思うか？」

　小学校最後の夏休みで、学校プールの掃除当番として登校していた、なずな（奥菜恵）、典道（山崎裕太）、祐介（反田孝幸）。祐介は典道に、水泳の勝負で勝った方がなずなに告白するという話を持ち掛けて…。

【注目ポイント】

　本作は、1993年にテレビで公開された岩井俊二監督の名作ドラマを1995年に劇場公開したものだ。

　物語はヒロインのなずなが花火大会に祐介を誘うAパターンと、典道を誘うBパターンに分かれている。

　なずなに祐介が花火に誘われるAパターン。
　
　花火大会になずなと行くかに思われた祐介は、なずなとの約束を破り、典道に断ってもらうよう伝言する。祐介の親が経営する病院で、典道はなずなに遭遇し、代わりに花火大会に向かおうとするが、なずなが親に連れ戻されて終わるパターンだ。

　なずなに典道が花火大会に誘われるBパターンでは、典道の家になずなが来る。なずなは典道を誘って駆け落ちをしようとバスで駅へむかい、電車に乗ろうとするも、未遂に終わり、夜のバスで町へ引き返す。

　そして、夜のプールに忍び込む。なずなは、「今度会えるのは2学期だね」との言葉を残し、典道の前を去る。しかし、その望みは叶わない…。彼女は、2学期から転校することが決まっているからだ。

　なずなと典道が夜のプールで水を掛け合いはしゃぎ合うシーンは、美しいシーンの一つとして刻まれる。

　2017年には、この原作に忠実なアニメ版が公開された。実写とアニメを見比べてみるのも楽しいかもしれない。