デッドプールが”MCUの救世主”であるワケ。 映画『デッドプール&ウルヴァリン』考察&評価。【映画と本のモンタージュ】
text by すずきたけし
マーベル・スタジオ最新作『デッドプール&ウルヴァリン』が現在公開中。自由過ぎるR指定のクソ無責任ヒーロー・デッドプールと、キレたらヤバい最恐アウトロー・ウルヴァリン、マーベルファンが長年待ちわびていた夢の共演が遂に実現した。今回は本作の魅力に迫るレビューと併せて読んでほしい一冊を紹介する。(文・すずきたけし)
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【著者・すずきたけし プロフィール】
ライター。『本の雑誌』、文春オンライン、ダ・ヴィンチweb、リアルサウンドブックにブックレビューやインタビューを寄稿。元書店員。書店と併設のミニシアターの運営などを経て現在に至る。
マーベルファンが長年待ちわびた夢の共演
『デッドプール&ウルヴァリン』を観た。
今回はデッドプールだからこそできたマーベル原作作品の“断捨離”映画だった。ああ、デッドプールはまさにMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の神、そして救世主だったのだ。
デッドプールは原作であるマーベルコミックのなかでも人気のヒーローで、とくにMCUの盛り上がりがピークだった『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』から始まるフェーズ3(2016〜)ごろはデッドプールのコミックがよく売れた。
もちろん同時期に公開された映画『デッドプール』(2016)の勢いによるところも大きかったが、当時書店員で海外コミック担当であった筆者のすずきは、コーナーでMCU作品の原作コミックを推していて、なかでも“ファンタスティック・フォー”が登場する「デッドプール:モンキービジネス」や“ロキ”が登場する「デッドプールの兵法入門」、“キャプテン・アメリカ”や“ウルヴァリン”と共闘する「デッドプールVol.3:グッド・バッド・アンド・アグリー」などがよく売れていたことを今でもよく憶えている。