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クドカンを信じてきて良かった…放送前に炎上した”堀井”の評価が逆転したワケ。ドラマ『新宿野戦病院』第7話レビュー

宮藤官九郎による完全オリジナル脚本のドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)が放送中。小池栄子と仲野太賀のW主演の本作は、新宿・歌舞伎町にたたずむ病院を舞台にした新たな救急医療エンターテインメントだ。早速、第7話の物語を振り返る。(文・野原まりこ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

堀井(塚地武雅)の真相が明らかに

ドラマ『新宿野線病院』第7話 ©フジテレビ
ドラマ『新宿野線病院』第7話 ©フジテレビ

 聖まごころ病院の内科医・横山勝幸(岡部たかし)に、男性の姿で母(藤田弓子)につきそう様子を目撃された看護師長の堀井しのぶ(塚地武雅)。第7話では、堀井の真相が明らかとなった。
 
 堀井の母が自転車で移動中、子供と接触して大怪我を負わせてしまい、2人は聖まごころ病院に搬送される。ヨウコの適切な判断により、2人は助かったが、実家では、昔気質の男性然として振る舞っていた息子が、職場では女性として働く姿に母は驚くのだった。

 実は、堀井は両親に何十年前に、打ち明けていた。当時は受け入れてくれた母も、年を経て認知症を患い、いつしか息子のことを夫の姿に重ねるようになった。堀井も、やがていちいち訂正するよりもと、父のように振る舞うようになったのだという。

 第7話はトランスジェンダーの堀井がフィーチャーされた回だった。取り扱い方によっては炎上しかねない題材を切り取り、視聴者に問題意識を提示するクドカン。

 しかし、今回の展開は多くの視聴者の胸を打ったようだ。「塚地の役が『男性か女性かわからない看護師』という設定だけで『ジェンダーを面白おかしく描くな』とか叩いてたひとたくさんいたけど、今のクドカンがこの題材をただのおもしろコンテンツとして扱うわけないだろと信じてついてきてよかった」「性的少数者が認知症の親を持ったらどうなるか。想像だにしなかった物語がハートフルな終わり方をしてくれる。」といったような意見が寄せられており、一人の人間を深掘りした時に生まれる物語が秀逸であった。

 社会が勝手にデリケートな問題として触れない事柄でも、あえて描くことによって、自分の考え方は穿った思い込みに過ぎないのでは、と気づくことが出来る。

 今作のクドカンは、多くの人が見て見ぬ振りをする現実に目を向け、独特のコメディーセンスで笑いと感動の物語に昇華してくれた。Xの民が言うように「ここまでついてきてよかった」と心から思うエピソードであった。

(文・野原まりこ)

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