ホーム » 投稿 » ドラマ » まさに神回…堀井親子の”昭和あるある”に泣かされたワケ。迫る2025年問題とは? 『新宿野戦病院』第7話考察&評価

まさに神回…堀井親子の”昭和あるある”に泣かされたワケ。迫る2025年問題とは? 『新宿野戦病院』第7話考察&評価

text by 田中稲

小池栄子と仲野太賀がW主演のドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)が現在放送中。宮藤官九郎の最新作である本作は、新宿歌舞伎町にたたずむ「聖まごころ病院」を舞台に、様々な”ワケあり”の患者が訪れる。今回は、第7話を多角的な視点で振り返るレビューをお届けする。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

まさかこんなに泣かされるとは…。
堀井親子による「老老介護シミュレーション」

ドラマ『新宿野線病院』第7話 ©フジテレビ
ドラマ『新宿野線病院』第7話 ©フジテレビ

 神回だった…! 冒頭の、なんだか色っぽいナレーションと白木さん(高畑淳子)の怒鳴り声を聞いているときは、まさかこんなに泣かされると思っていなかった。

 今回のテーマは「高齢者」だ。堀井しのぶ看護師長のプライベートやバックボーンを通じて、いろいろ考えることがあった。演じる塚地武雅と同い年と仮定すれば52歳、私は同世代。高齢になった親とのかかわり、そして己の老後を想像し、W泣きである。

 先週のラストシーンでは、花火大会で堀井は母・房江(藤田弓子)に横柄に振舞っていたが、それは父の真似だったのだ。房江は認知症を患っており、しのぶと父を時々混同してしまう。彼女は、それに付き合ってあげていたのだった。

 しのぶが回想する、父と母の不思議な関係は、昭和あるあるである。

「亭主関白の父のことが、どういうわけか、母は大好きでした」。

 愛はあるけど、不器用で表立って表現できない。憎まれ口をたたきつつ、たまーに好物のゼリーを買ってきてやさしさを見せる。

 そんな、恐ろしいほど分かりにくい頑固親父と、それを「ハイハイ」と受け止めて愛する、奇跡の包容力を持つ母親――。描き方が絶妙すぎる!

 見ながら、亨(仲野太賀)の口調で「いやもう大変だわ、昭和の愛し方-ッ!!」とのけぞりながら叫んでしまった。ただ、そのお母さんの包容力が、そのまま堀井しのぶにも受け継がれている。

 堀井さんが、自身のジェンダーを打ち明けるも、父親は理解しない。けれど、母親は「気づいてあげられなくてずっと味方だからね」と抱きしめてくれるのだ。

 しかし、ある日帰ったら、そんな風に面倒見がよくきれい好きだった母は何もしない、できない人になっている。時々、自分を、死んだ父と混同するようにもなる。

 わが身に置き換え、想像するだけで、本当にショックだ。しのぶが「その都度訂正していたけど、だんだん面倒くさくなっちゃって」と言うセリフが、胸に突き刺さる。

自転車事故のシーンは、ゾッとした。高齢者の自動車事故然り、加害者になることもおおいにある。「ヘルメットもつけてるし、自転車くらいならいいか」とはいかないな、とつくづく思った。

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