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“夏の終わりに観たい映画”の最高傑作は? エモすぎる名作(5)消えた1日で何が起こる…斬新な設定とは?

text by シモ

今年の夏は例年よりもさらに暑く感じる。外に出て、海やプールに入ったりして涼しむのもいいが、クーラーの効いた家や映画館でゆっくり映画を観るのもいいだろう。今回は、暑い夏にピッタリな映画5本をセレクト。ノスタルジックな雰囲気の作品や、甘酸っぱい作品を紹介する。(文・シモ(下嶋恵樹))

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【著者プロフィール:シモ(下嶋恵樹)】

東京都出身。横浜市在住。転職5回のサラリーマン生活を経て、フリーランスのライターに。地域情報サイトでの取材記事や映画サイトでの映画紹介記事、ビジネス系記事など、さまざまな執筆の経験あり。現在は、インタビュー記事などにも挑戦中。映画は幅広い国の映画を鑑賞。好きな映画は、『ニュー・シネマパラダイス』『イル・ポスティーノ』『パリ・テキサス』。

新しい形の時間映画。笑いと涙を誘う隠れた名作

『1秒先の彼女』(2020)

リウ・グァンティン

リウ・グァンティン【Getty Images】

製作国:中国
上映時間:119分
監督:チェン・ユーシュン
脚本:チェン・ユーシュン
出演者:リー・ペイユー、リウ・グァンティン

【作品内容】

 郵便局で働くヤン・シャオチー(リー・ペイユー)は、郵便局勤務のアラサー女子だ。

 何をするにもワンテンポ早いところがある。かけっこ、なわとび、映画を観て笑うタイミング。そんな彼女は、バレンタインデーに転機が訪れる。イケメンダンス講師(ダンカン・チョウ)に、デートに誘われるのだ。

 しかし、デートの約束をするも、目覚めるとなぜか翌日で…。

【注目ポイント】

 メガホンをとったのは『熱帯魚』(1995年)、『ラブゴーゴー』(1997年)などで知られる台湾のチェン・ユーシュン。中華圏のアカデミー賞と呼ばれる金馬奨で最多の5冠(作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、視覚効果賞)を獲得している。

「なぜ、デートの約束をしたはずのバレンタインデーは、消えてしまったのか?」

 消えた1日を巡るヤン・シャオチーの推理旅行と、もう一人の主人公ウー・グアタイ(リウ・グァンティン)が起こした行動。2つの視点で、物語は展開される。

 何をするにもワンテンポ早いヤン・シャオチーと、何をするにもワンテンポ遅いウー・グアタイ…。

 テンポが遅いウー・グアタイの時間は、ほかの人よりも数秒だけ時間が長いため、「24時間の貯金」という形で利息が付く。彼はそのご褒美を使い、自分の商売道具であるバスで、初恋の女性ヤン・シャオチーとの不思議なデート時間を持つことになるのだ。

 タイムパラドックス的な要素もあるが、従来のタイムスリープものとは異なる、新しい形の映画といえるだろう。そんな本作では舞台が「夏」だからこその仕掛けもあり、夏の気分に浸りたい人にも打ってつけ。笑いとともに、ほろりとさせるところもある、隠れた名作だ。

 2023年には山下敦彦監督、宮藤官九郎脚本で、男女の設定を逆転させた日本版リメイクも作られている。興味のある方はぜひ見比べてみてほしい。

(文・シモ(下嶋恵樹))

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