ホーム » 投稿 » コラム » 日本映画 » クレームが殺到した名作ドラマは? ドラマ史に残る問題作5選。放送当時は賛否両論も…再評価が待たれる作品たち

クレームが殺到した名作ドラマは? ドラマ史に残る問題作5選。放送当時は賛否両論も…再評価が待たれる作品たち

text by 編集部

クレームは、厄介者扱いされるのが常である。しかし「クレーム」が「要求(claim)」を語源としていることを考えると、世相を反映する世間の声とみなすこともできる。今回は、放送当時、視聴者からクレームが殺到したものの、再評価の機運が高まっている作品を5本紹介する。(文・編集部)

——————-

国会でも取り上げられた大問題作

『明日、ママがいない』(2014、日本テレビ系)

女優の芦田愛菜
芦田愛菜【Getty Images】

脚本:野島伸司、松田沙也
演出:猪股隆一、長沼誠、鈴木勇馬
出演:芦田愛菜、鈴木梨央、桜田ひより、渡邉このみ、三浦翔平、木村文乃、大後寿々花、城田優、鈴木砂羽、三上博史

【作品内容】

 たったひとりの肉親である涼香(酒井美紀)が傷害事件で逮捕され、「コガモの家」という児童養護施設に預けられた真希(鈴木梨央)は、施設で3人の少女(ピア美・ボンビ・ポスト)と出会う。中でも赤ちゃんポストで育ったポスト(芦田愛菜)は、実家がある真希を冷遇。真希も、そんなポストに反発するが…。

【注目ポイント】

 天才子役として世間に登場し、今や神格化された感もある芦田愛菜。そんな彼女の初主演作は、意外にも波乱含みだったことをご存知だろうか。

 脚本を担当するのは、野島伸司。同性愛や近親相姦を扱った『高校教師』(1993、TBS系)や障がい者への暴行事件を扱った『聖者の行進』(1998、TBS系)など、社会のタブーに真っ向から切り込んだ作品を数多く手がけてきた脚本家として知られている。

 そんなドラマ界の革命児・野島が制作した作品なのだから、何事もなく終わるはずはない。

 本作でも、第1話から、赤ちゃんポストに預けられていた主人公が「ポスト」のあだ名で呼ばれたり、児童養護施設の施設長が子どもを犬に例えたりと、扇情的な描写があちこちに登場。国内で赤ちゃんポストを設置している病院や児童養護施設協議会から放送中止を求める声が殺到した。事態は回を追うごとへ悪い方向へ。

 第2話でスポンサー3社がCM放送を自粛し、第3話以降は全8社が自粛。さらに、国会の答弁で当時の厚生労働大臣が、本作が児童養護施設の子どもに与えた影響の調査を表明する事態となった。

 さて、社会の反応が先行してしまった感がある本作だが、物語はもちろん、配役や演技など、作品自体に対する評価はかなり高い。しかし、大きな社会問題を起こしてしまったためか、2024年11月現在、配信はされていない。

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!