映画「記憶にございません!」の【あらすじ】、【ネタバレありあらすじ】を紹介。三谷幸喜監督作品。中井貴一、ディーン・フジオカ、石田ゆり子、草刈正雄、佐藤浩市ら出演。記憶を失った支持率最低の総理大臣が、信頼を取り戻そうと奮闘する過程を、ラストまで徹底網羅！

映画『記憶にございません!』のあらすじ

　病院のベッドで目を覚ました男（中井貴一）。身体につながれた管や、病室前に陣取るスーツの男におののき、パジャマ姿のまま逃走する。彼は、自分が何者なのか全く記憶になかった。しかし、男は、行く先々で「おまえのせいだ！」とバッシングを受ける。

　あてどもなくさまよった男は、とある定食屋のテレビに釘付けになる。テレビには、首相が市民の投石によって負傷したというニュースが流れていた。しかも、そこに映っていた首相は、自分そっくりだった。まさか、と思う男。

　その後、男は、屈強な男たちに連行され、とある場所へ連れていかれる。その場所とは、首相官邸だった。

　首相官邸に連れていかれた男は、早速秘書官の井坂（ディーン・フジオカ）から、国会中継の録画映像を見せられる。そこに映っていたのは、暴言を吐く「史上最悪の首相」黒田啓介の姿だった。

　しかし、そんな横暴な姿も以前のこと。今や黒田はすっかり気弱になってしまっていた。首相秘書官の井坂と事務秘書官の番場のぞみ（小池栄子）は、首相の記憶喪失という日本を揺るがしかねない大問題を内密に処理することにした。

　私邸に戻った黒田。しかし、ハウスキーパーの寿賀（斉藤由貴）はおろか、妻の聡子（石田ゆり子）の顔も思い出せない。寿賀に抱きつき、家族から不審の目を向けられる黒田。一人息子の篤彦（濱田龍臣）も黒田を毛嫌いしており、徐々に問題が明らかになっていく。

　政府内には、裏で権力の座を虎視眈々と狙う官房長官・鶴丸大悟（草刈正雄）をはじめ、記憶喪失が知られてはいけない存在で溢れかえっていた。そんな中、当の黒田は、行く先々で特別待遇を強要したり、夫人の聡子に冠番組を持たせたりと、やりたい放題だった。

　それだけではない、幼馴染の建築業者からわいろを受け取って無駄な公共事業を無理矢理進めようとしたり、野党党首の山西（吉田羊）と不倫関係にあることを国会で厳しく追及されたり、挙句の果てには、週刊誌記者の古郡祐（佐藤浩市）からスキャンダル記事の件で脅されたりと、支持率最低も納得できるダメっぷりだった。

　しかし、記憶を亡くしてからの黒田は明らかに違った。「記憶がないからこそできることがある」という番場の言葉に背中を押された黒田は、まず、自分に石を投げた市民にお礼を述べる。そして、小学校の恩師を総理官邸に招き、政治の勉強をいちから勉強し直す。

　また、最も自由な総理大臣になった、という恩師の言葉に動かされた黒田は、山西との関係も綺麗に清算。家族を再び食事に誘う。文字通り、生まれ変わった黒田の行動に、家族はなおも疑惑の目を向けていたが、周囲の見る目は少しずつ変わっていった。