感動的な別れからたった8日で…まひろの行動が共感を呼ぶ理由とは? NHK大河ドラマ『光る君へ』第33話考察レビュー
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。中宮・彰子の女房として内裏へ上がったまひろ。慣れない女社会で予想外の洗礼を受けることに…。今回は、第33話の物語を振り返るレビューをお届けする。【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】(文・苫とり子)
ーーーーーーーーーーー
【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
まひろ、かつての「地味でつまらぬ女」発言に反撃
道長(柄本佑)たっての願いで、中宮・彰子(見上愛)の女房として内裏へ上がることになったまひろ(吉高由里子)。『光る君へ』第33回では、藤式部という名を与えられたまひろが藤壺で一条天皇(塩野瑛久)に献上する『源氏物語』の執筆を始める。
序盤のハイライトは、まひろが公任(町田啓太)や斉信(金田哲)と対面する場面だろう。まひろは、第7回にて2人が参加した打毬の試合を観戦したことがある。中宮の両親である道長と倫子(黒木華)の出会いの場でもあり、いまや国政の中核を担う者たちの青春時代が華やかに描かれたシーンだった。
だが、試合後に倫子の猫を追いかけていった先で、まひろは男性陣が女性談義に興じている場面に遭遇。そこで公任は、まひろのことを「地味でつまらん」と評していた。
あの時の会話をまさか本人に聞かれていたとも知らず、公任と斉信は藤壺の女房について「世間知らずというか鈍い」「見栄えはしても、鈍いのは困る」とまひろに愚痴を言い始める。
そんな2人に対し、まひろは「私のような地味でつまらぬ女は、己の才を頼みにするしかございませぬ」とにっこり。勝手に値踏みされ、「地味でつまらない女」とされたことを相当根に持っていたのだろう。
当時は傷つくことしかできなかったまひろの粋な仕返しに成長を感じた。その後、斉信と公任が「どこかで聞いた台詞…」と思いながら帰っていく場面も面白い。斉信は思い当たる節があるようで「地味でつまらぬ女って前に言ってなかったか?」と公任に問うが、本人はすっかり忘れている様子だった。