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史上最高の考察系ドラマは? 沼にハマった究極の名作(2)常識を覆す面白さ…歴史に残る刑事モノの金字塔は?

text by 寺島武志

近年、SNS普及の影響もあり、ドラマ作品の“考察ブーム”が囁かれる。考察要素を持つドラマ作品は、その世界観に視聴者を引き込み、時として、世間を席巻するほどの反響を得ることもある。今回は、考察要素の高い民放ドラマ作品を5本セレクト。一気見したくなるに違いない名作を厳選してその魅力をご紹介する。(文・寺島武志)

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『SPEC』、『SICK’S』へと続く
「ケイゾク・サーガ」の原点

『ケイゾク』

中谷美紀【Getty Images】
中谷美紀Getty Images

放送期間:1999年1月8日~3月19日
放送時間:金曜22:00~22:54
放送局:TBS系
脚本:西荻弓絵、清水東
最高視聴率:15.7%
キャスト:中谷美紀、渡部篤郎、鈴木紗理奈、矢島健一、生瀬勝久、泉谷しげる、野口五郎、竜雷太、徳井優、長江英和、西尾まり

【作品内容】

“警視庁捜査一課弐係”、通称「ケイゾク」に所属する公安出身の叩き上げ刑事・真山徹(渡部篤郎)と、東大卒のキャリアでエリート中のエリートである柴田純(中谷美紀)のコンビが難事件を解決していくミステリー作品。

タイトルの「ケイゾク」とは警察内部で“迷宮入り”を指し、「継続捜査」を意味する隠語。それをタイトルに採用した異色の刑事ドラマだ。物語では捜査一課の二係がこの勤務にあたっているが、二係で繰り広げられる個性豊かな刑事と、とにかく悪知恵が働く犯罪者との知恵比べを軸にドラマは展開する。

【注目ポイント】

天才的な頭脳を持つ主人公の柴田純(中谷美紀)とその相棒である真山徹(渡部篤郎)がバディを組み、迷宮入りしてしまった難事件を解決する本格的なサスペンスドラマである一方で、独特のコメディー要素を持ち合わせ、大人気ドラマとなった。

それは登場人物の設定やセリフなどによく表れている。代表的なのが中谷演じる柴田。エリートでありながら、世間知らずで非常識なところがあり、風呂嫌いで頭が臭いなど、かなりぶっ飛んだキャラ設定だ。

また劇中では、過去の名作刑事ドラマ『太陽にほえろ!』や『あぶない刑事』をオマージュしながらも、風刺の対象としているような描写が随所に垣間見える。

演出の堤幸彦は、従来の刑事ドラマとは違い、派手な銃撃戦など、アクション要素を排し、よりリアルに近い地味な刑事という“職業人”を描き、謎解きに比重を置いたストーリーを展開。それが逆に新鮮さを生み出すことに成功した。

堤のこの挑戦は吉と出て、現在では、それまで“ドンパチ”が最大の見せ場だった刑事ドラマの形を変えたと評価されている。

以降、本作の設定を一部引き継いだ続編的な作品『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(2010~)シリーズや、その完結編『SICK’S~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~』(2018~)は、それぞれ、『ケイゾク』の世界観を引き継いでいる。

『ケイゾク』としてはその後、劇場版『ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer』(2000)が公開され、さらに、スペシャルドラマも製作された。

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