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史上最も呪われた映画は? 悲惨なトラブルに見舞われた邦画(2)死と隣り合わせ…悲劇の落石事故、その顛末は?

text by 阿部早苗

近年、映画撮影中の悲惨な事故が度々ニュースで報じられる。特に昭和時代には日本国内でも、壮絶な撮影現場が多く存在した。今回は、制作中に悲惨なトラブルに見舞われた「呪われた映画」を5本セレクトする。有名俳優の大怪我や、時には死亡事故にまで至ったケースなど、その背景と事故の詳細を振り返りながら紹介する。第二回。(文・阿部早苗)

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死と隣り合わせの過酷な撮影現場

『劔岳 点の記』(2008)

俳優の香川照之
俳優の香川照之Getty Images

上映時間:139分
監督:木村大作
脚本:木村大作、菊池淳夫、宮村敏正
キャスト:浅野忠信、香川照之、松田龍平、モロ師岡、螢雪次朗、仁科貴、蟹江一平、仲村トオル、小市慢太郎、宮崎あおい、役所広司

【作品内容】

 明治時代、地図上で空白となっている劔岳の登頂と測量の命令を受けた陸軍参謀本部陸地測量部の柴崎(浅野忠信)は、仲間と劔岳の頂上に向かう。しかし、悪天候や登山装備が整っていない中での登山に困難をきたす。

【注目ポイント】

 世界映画界の永遠の巨匠、故・黒澤明のもとで10年以上撮影助手として活躍した木村大作。そんな彼が、満を持してメガホンを取ったのが、『劔岳 点の記』だ。

 主人公は、日本地図を完成させるため、日本で最も危険度の高い未踏峰、剱岳への登頂を果たした柴崎芳太郎。キャストには、浅野忠信や香川照之、宮崎あおい、役所広司など、日本の映画界を代表する役者陣が名を連ねた。

 本作の撮影で木村が出した条件は、「空撮やCGを一切使わない」というもの。撮影は、2007年から2年に渡り、当時の測量士たちが登った山道で行われ、シーンによっては9時間の移動を経て行われたという。

 そして、2008年6月に事故は起こる。北アルプスの別山(富山県立山町)で、撮影隊がなんと落石事故に遭遇。録音担当スタッフが左側頭部を打ち、病院へ搬送された。

 しかし、不幸中の幸いか、スタッフは左頭部骨折と脳挫傷の重傷を負ったものの命に別状はなかった。また、この事故により撮影は10日間ほど中断されたが、7月1日から再開。翌年の6月に無事に日の目を見た。

 その後本作は、第33回日本アカデミー賞最優秀監督賞ほか数々の賞を受賞。木村たちの執念が、本作を傑作たらしめた。

(文・阿部早苗)

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