「出演した若手俳優が次々にブレイク」安田真奈監督から見た未来のスターの共通点とは? 安田真奈ロングインタビュー【後編】
上野樹里、小芝風花など、「出演した若手俳優が次々にブレイクする」と言われる安田真奈監督作品。インタビュー後編では、映画『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』(2018)の堀田真由や、映画『メンドウな人々』(2023)の片岡千之助を中心に、お話を伺った。(取材・文:田中稲)
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【安田真奈監督プロフィール】
奈良県出身。メーカー勤務の後、上野樹里主演『幸福(しあわせ)のスイッチ』(2006)監督・脚本で劇場デビュー。本作にて第16回日本映画批評家大賞特別女性監督賞、第2回おおさかシネマフェスティバル脚本賞を受賞。堀田真由主演『36.8℃サンジュウロクドハチブ』(2018)、小芝風花主演『TUNA ガール』(2019)、片岡千之助主演『メンドウな人々』(2023)、片岡礼子主演短編『あした、授業参観いくから。』(2021)など監督・脚本担当。
「繊細な表情が本当にうまい」
映画『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』(2018)堀田真由が見せた芯の強さ
―――映画『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』(2018)は兵庫県加古川市を舞台に、思春期のモヤモヤとトキメキを描いた映画でした。ヒロイン・若菜を演じた堀田さんはどんな印象でしたか。
「堀田真由さんは、真摯で、礼儀正しく、物腰もやわらかく、素敵な方でした。初の主演映画で、撮影参加はたった5日。ハードなのにしんどい顔を一切見せない芯の強さがあり、感心しました。セリフも多いのにノーミス!売れるだろうなと思ってたら、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK、2022)や『大奥』(同局、2023)のメインキャスト、『たとえあなたを忘れても』(テレビ朝日系、2023)の主演に。嬉しいご活躍です」
―――10月からは、『若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私-』(日本テレビ系)主演も決まりました。透明感のある方ですね。
「繊細な表情が本当に上手ですよね。セリフが無い時も、微妙な心の移り変わりを自然に表現できる。能力の高い方だと思います」
―――若菜の友人で、ちょっと大人びた歩結役の西野凪沙さんも目を引きました。
「明るく気さくな方ですが、淡々とした独自路線キャラを自然に演じてくださいました。近年では、ムロツヨシさんの舞台『muro式.がくげいかい』のヒロインに抜擢されました。2024年6月公開の映画『つゆのあとさき』でもメインキャストですね。
西野さんの相手役だった、写真部員・桂木を演じた平井亜門さんも、映画『神田川のふたり』(2022)主演や映画『アルプススタンドのはしの方』(2020)メインキャストなど、出演作多数です。彼はモデルとしても人気ですよ」
―――2024年9月現在、配信や放送がされてないのが本当に残念です。本作は「ぼくらのレシピ図鑑シリーズ」第一弾とのことですが、どういうシリーズでしょう。
「映画24区が自治体などと共に製作する映画シリーズです。企画段階から地域の方々とご一緒して、地域の『食』と『若者』をテーマにオリジナル脚本で撮ります。
目指すところは『真のご当地映画』ですね。『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』では、兵庫県加古川市が42人の高校生応援隊を組織して、ロケハン、小道具づくり、出演、宣伝、舞台挨拶など、一緒に盛り上げてくださいました」
―――高校生たちとの交流で思い出深いことはありましたか。
「皆さん一生懸命で可愛かったですね。最近の若い方は、発信が上手。高校生応援隊の女子高生の一人が、映画PRのため、自主的に『ワタシのビネツ』という歌を作ってくれました。『♪なんにもないと思っとった…』と故郷を見つめ直す歌で、すごくよくて。
シーン写真を交えた動画をYouTubeで、ご覧いただけるので、是非。応援隊の皆さんは、映画製作を通じて街の魅力に気づき、地域の方や市役所の方とも親しくなったようです。翌年には町のPR動画を撮影されてました」