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ドラマを超えた小池栄子の名演説…”ヨウコ”&”享”だけじゃない影の主人公とは? 『新宿野戦病院』最終話考察&評価

text by 田中稲

小池栄子と仲野太賀がW主演のドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)が完結を迎えた。宮藤官九郎の最新作である本作は、新宿歌舞伎町にたたずむ「聖まごころ病院」を舞台に、様々な”ワケあり”の患者が訪れる。今回は、最終話を多角的な視点で振り返るレビューをお届けする。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

「犯人さがし」への警鐘から、「こう来るか!」のラストシーン

『新宿野戦病院』第11話より ©フジテレビ
『新宿野戦病院』第11話より ©フジテレビ

 ルミナ禍からの最終回。この10回で色々あり過ぎて「このまま見逃されるのか」と思っていたが、ヨウコ(小池栄子)が無免許で医療行為していたことが、最後になって響いてくるとは…。

 それだけではない。第1話から何気なく見ていたシーン、人が、つながりを、芋を掘り起こすようにポコポコ思い出させ、「こう来るか!」のラストシーンが待っていた。

 話は、ルミナ第2派直前からスタート。ドラマと同局の情報番組『Mr.サンデー』(日曜後10・00)がタイアップ。ヨウコと院長の高峰啓介(柄本明)が、宮根誠司が司会を務める情報番組にリモート出演、ルミナ禍について議論する…という展開となった。

 この番組で、ヨウコは、第5話で、ヨウコたちが搬送したホームレスのシゲさん(新井康弘)とECMOの順番を争った官房副長官・川島一也(羽場裕一)と対峙する。防衛副大臣から、官房副長官となった彼に、ヨウコが訴えるのは、医療従事者への支援と、「犯人さがしの無意味さ」であった。

「感染源は? これだけは言える。運んだのは人間です。どれだけ危険なウイルスだって、足が生えて密林から出てくるわけではありません。人間の移動によって広まるのは間違いない。だから犯人さがしは意味がない。特定の人を悪者にするのをやめてください」

 この、訴える場面だけ、岡山弁&英語は封印し、ヨウコは標準語で話すのだ。ドラマという架空の設定を超えた、苛立ちが伝わってきた。

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