日本で最も演技が上手いミュージシャンは? 演技派歌姫(1)えげつない再現度…名作漫画実写化、成功の立役者
text by 野原まりこ
歌声で我々を魅了する、日本が誇る歌姫たち。その存在感はステージを降りても発揮される。彼女たちが映画に出演すると、他の共演者にはない艶やかなオーラを放ち、またもや我々はその存在感に魅了されるのだ。彼女たちの芝居は、なぜ魅力的なのか。その理由を深掘りするべく、今回は演技が上手い女性ミュージシャンを5人セレクトして紹介する。
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漫画から飛び出したような再現度
圧倒的な歌唱力で映画を大ヒットに導く
中島美嘉『NANA』(2005)
監督:大谷健太郎
脚本:大谷健太郎、浅野妙子
出演者:中島美嘉、宮崎あおい、成宮寛貴、松山ケンイチ、平岡祐太、サエコ、伊藤由奈、丸山智己、玉山鉄二、松田龍平
【作品内容】
バンドでビッグになることを夢見るナナ(中島美嘉)と、夢に夢見る奈々(宮崎あおい)。偶然の出会いを果たした何もかも正反対の2人は、ひょんなことから同居生活を始めることになる。
【注目ポイント】
矢沢あいによる人気少女漫画『NANA』を原作にした本作は、興行収入40億円を突破し、社会現象を巻き起こした。
原作の世界観を丁寧に表現した脚本、時代を反映した目にも鮮やかなファッション、繊細な画作りは素晴らしく、平凡な恋愛映画とは一線を画している。
多数の美点を備えた本作だが、ヒットの立役者は、間違いなく主人公の1人・ナナを演じた中島美嘉だろう。
漫画で描かれるナナと中島はルックスのみならず、発声や振る舞いなどが抜群にハマっており、観る者に漫画からそのまま飛び出してきたかのような印象を与える。
劇中最大の見せ場の一つである歌唱シーンでは、圧倒的な歌唱力とステージパフォーマンスでその場を支配。映画のボルテージを上げる役割を十二分に果たしている。ライブシーンにここまでの臨場感と説得力を持たせられる女優は、中島を置いて他にいないだろう。
中島は、本作で第29回日本アカデミー賞・優秀主演女優賞と新人俳優賞をW受賞。歌だけに止まらず、演技でもその存在感を見せつけた。
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