なぜ目黒蓮“夏” は周囲から責められるのか? 結末のカギを握るセリフとは? ドラマ『海のはじまり』第11話考察&レビュー
目黒蓮主演の月9ドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)は、名作『silent』の制作チームが再集結し、“親子の愛”をテーマにした完全オリジナル作品だ。人と人との間に生まれる愛と、そして家族の物語を丁寧に描く本作の第11話の考察レビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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夏(目黒蓮)の苦悩と葛藤
『海のはじまり』(フジテレビ系)第11話は、夏(目黒蓮)に感情移入しすぎて苦しくなった。津野(池松壮亮)は、「南雲さんがいたときも、いなくなったときも、お前いなかったもんな」と言うけれど、夏と水季(古川琴音)は別れていたのだから、そばにいないのは当たり前だ。
しかも、「夏くんよりも好きな人できちゃった」と別れを告げたのは、水季の方。もちろん、夏もタイミング的に察する部分があってもよかったと思う。でも、“夏くんよりも好きな人”が、“自分と水季の間にできた子ども”のことだと結びつけられる人は、なかなかいないだろう。
そして、朱音(大竹しのぶ)も、相変わらず夏に敵意を向けたまま。個人的には、南雲家から夏に謝罪があってもいいくらいだと思う。
「夏くんは、産むことも堕すこともできないんだから」と、夏から選択の権利を奪ったのは水季だ。だから、中絶同意書にサインをしたのに、知らないところで父親にさせられていたなんて。 夏が、弥生(有村架純)の元恋人のようなタイプの人間なら、内緒で子どもを産む選択をするのも分かる。でも、夏は逃げたわけじゃない。逃げようともしていない。水季と同じくらいに、命の存在と向き合おうとしていた。
朱音は、その経緯を知らないのだろうか。 その上、海(泉谷星奈)からも、「なんで、ママいたときパパになってくれなかったの?」と責められたら、「もう、やってられんわ!」とすべてを投げ捨てたくなっても無理はない。
でも、夏は我慢強すぎる上に、自分を責めるクセがついてしまっている。だから、「産むこと知らされてなかったんだから、仕方ないじゃん」と開き直ることもできないし、「別れてたんだから、そばにいないのは当たり前だろ」と津野に言い返すこともしない。“自分が悪いんだ”とすべてを受け止めてしまうのだ。