史上最も壮絶な役づくりをした俳優は? 過酷な肉体改造に挑んだ役者5選。ハリウッドの歴史に残る壮絶なエピソードをセレクト
スクリーンでまばゆい輝きを放つハリウッドスターたち。中には、本番に至るまでの役作りで、過酷な肉体改造を行う者も。今回は、歴代ハリウッドスターの中でも、とりわけ壮絶な役作りを行った俳優を5人セレクト。映画ファンを驚かせたエピソードと共に紹介する。(文・shuya)
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【著者プロフィール:shuya】
多数のジャンルを執筆するフリーライター。自身の俳優としての活動を生かし、映画やドラマ、俳優の素晴らしさを言葉で表現する。「言葉というかけがえのない芸術で人々の人生を変える」をモットーに、生きる力をあなたに届ける。
自他ともに認める世界No.1のカメレオン俳優
クリスチャン・ベール
世界屈指のカメレオン俳優との呼び声が高いクリスチャン・ベール。役作りの話題になれば、彼の名前は必ずと言っていいほど挙がる。
どの作品でも度を超えた役作りで、まるで別人かのように存在している。彼にとっては、体重の増減など当たり前。作品によっては歯も抜いてしまうほどだ。
そんな彼の代表作の1本が、クリストファー・ノーラン監督による『バットマン・ビギンズ』(2005)。この映画でクリスチャン・ベールは過酷な肉体改造を経て、筋骨隆々のバットマンを見事に演じきった。しかし、この作品は知名度こそ高いが、クリスチャン・ベールが真に本領を発揮した作品とは言い難い。なぜなら、彼は前年に『マシニスト』(2004)で壮絶な役作りを行なっているからだ。
この映画でクリスチャンが演じたのは、原因不明の睡眠障害に悩み、なんと1年間まともに眠っていない機械工の男。衰弱の極みを生きる男を演じるのために、クリスチャンは約30kgの体重減少に成功した。
痛々しく浮き出た肋骨、目の下のドス黒いクマ…。本作のクリスチャンを観ていると思わずめまいがしてくる。役作りにあたり、彼が過ごした過酷な日々は語り草だ。
1日の食事は水とりんご1個、あとはコーヒー1杯だけ。また、時々ウィスキーを飲むダイエットで4カ月間過ごし、1日の摂取カロリーは最大で200カロリーだったそうだ。
『マシニスト』以外にも、彼の壮絶な役作りの成果が堪能できる作品は枚挙にいとまがない。アカデミー賞で最優秀助演男優賞に輝いた『ザ・ファイター』(2010)では、落ちぶれた元ボクサーを演じるにあたり、頭髪を抜いて、歯並びまで変えてしまったというのだから、驚きを通りこして、呆れてしまう。
ここまでの役作りは、生半可な気持ちでできるわけがない。クリスチャン・ベールほど、プロ意識を持った人はいない。体に支障をきたすのではないかとついつい心配してしまうが、今後の彼の役作りにも目が離せない。