ホーム » 投稿 » 海外映画 » 劇場公開作品 » あえて観客を“興奮させない”演出の狙いとは? 映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』考察&評価レビュー

あえて観客を“興奮させない”演出の狙いとは? 映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』考察&評価レビュー

24年ぶりの続編となる『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が公開中だ。前作から変化を見せたリドリー・スコットの演出、ハンス・ジマーの音楽、ポール・メスカル、デンゼル・ワシントンといったキャスト陣の演技に着目したレビューをお届けする。(文・島晃一)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

——————————

【著者プロフィール:島晃一】

映画・音楽ライター、DJ。福島県出身。『キネマ旬報』、『ミュージック・マガジン』、『NiEW』などに寄稿。『菊地成孔の映画関税撤廃』(blueprint)で映画『ムーンライト』のインタビューを担当。J-WAVE「SONAR MUSIC」の映画音楽特集、ラテン音楽特集に出演。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」や『散歩の達人』では、ペデストリアンデッキ特集といった街歩きの企画にも出演、協力。渋谷TheRoomでクラブイベント「Soul Matters」を主宰している。

リドリー・スコットの代表作の1本、満を持しての続編

©2024 PARAMOUNT PICTURES
©2024 PARAMOUNT PICTURES

『エイリアン』(1979年)や『ブレードランナー』(1982年)などと並び、リドリー・スコット監督の代表作に数えられる『グラディエーター』(2000年)。古代ローマ帝国の後継者争いに巻き込まれ、奴隷の身に落ちた将軍が、剣闘士(グラディエーター)として決闘に挑む歴史映画だ。

 妻子の復讐のために、そしてローマの共和制という夢のために立ち上がる誇り高き将軍、マキシマスを演じたラッセル・クロウ。嫉妬にかられた傲慢な皇帝、コンモドゥスを演じたホアキン・フェニックス。そうした俳優たちの名演に加え、スペクタクルな映像、主題歌「Now We Are Free」をはじめとするハンス・ジマーの音楽など、『グラディエーター』は高い評価を得た。第73回アカデミー賞では、作品賞や主演男優賞を含む5部門の受賞を果たしている。

 それから24年の時を経て、リドリー・スコットが再びメガホンを取ったのが、続編『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』だ。

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!