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「脚本を読んで100%僕だと思いました」映画『HAPPYEND』栗原颯人、日高由起刀が語る、心に残った監督の言葉とは?

text by 山田剛志

世界的ミュージシャンである坂本龍一のコンサートを記録したドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto | Opus』で知られる空音央監督が初めて長編劇映画のメガホンをとった青春映画『HAPPYEND』が10月4日(金)より公開される。今回は本作で映画初出演となる栗原颯人さん、日高由起刀さんにインタビューを敢行。作品に込めた思いを語っていただいた。(取材・文:山田剛志)

「まるで自分のことが書かれていると思った」
運命を決めたオーディション

左から日高由起刀、栗原颯人 写真:武馬怜子

左から栗原颯人、日高由起刀。写真:武馬怜子

―――お2人とも本作に出演するきっかけとなったのはオーディションとのことですね。オーディションで印象的だったエピソードはありますか?

栗原颯人(以下、栗原)「そもそも会場が普通じゃなかったです」

日高由起刀(以下、日高)「居酒屋みたいな空間で、宴会のような雰囲気でした。お菓子も食べた気が…」

栗原「ああ、俺も食べた(笑)」

日高「音央さんとは、育った環境やルーツについて色々質問していただいてそれに応える、という形でお話させてもらいました。事前にワンシーンだけ書かれた台本はいただいていました」

栗原「僕が演じたユウタのキャラクターについても書かれていたんですが、読んだ時、まるで自分のことが書かれていると思いました。音央さんに『(読んで)どう思った?』と訊かれた時には、『100%僕だと思いました』と答えたくらいです」

―――ちなみに事前に配られた台本にはどのシーンが書かれていたのでしょうか?

日高「サブウーファー(低音だけを再生するスピーカー)を運ぶシーンでした。すごく印象的だったので、それを(監督に)伝えたら、ずっとニコニコしていましたね」

栗原「オーディションは全然かしこまった雰囲気じゃなくて、自分の存在を受け入れてくれるような空気感があって、やりやすかったですね」

―――アットホームな雰囲気だったのですね。オーディション時、監督とのやり取りで他に印象的だったエピソードはありますか?

栗原「僕がユウタ役で、相手役と掛け合いをする場面があったんですけれど、音央さんから耳打ちで指示があって、『どこかのタイミングで(相手の)乳首をつまんでほしい』と」

―――とてもユニークな演出ですね。

栗原「相手は多分すごく緊張してると思うから、どこかのタイミングでつまんでみて、と言われて。当時、モデル事務所に所属して2ヶ月くらいで、芸能のお仕事を始めたばかりだったので、びっくりしながらやったのを憶えています。『こんなことあるんだ…』みたいな」

―――監督の中で予定調和を壊したい、月並みな芝居をしてほしくないという意識もあったのでしょうか。日高さんはオーディション時に空音央監督から受けた演出で印象的だったものはありますか?

日高「オーディションには2回呼んでいただいたんですけど、2回目では、相手役と喧嘩シーンのお芝居をする機会がありました。その時に音央さんから『声を荒げるような怒り方じゃなくて、沈黙によって怒りを表現してほしい』といったことを言われたんです。

その場で演出の意図を100%理解したわけではないんですけれど、今思うと、実際に喧嘩したら自分の考えをまとめるのに精一杯だし、そんなに流暢に言葉は出てこないんじゃないかと納得できるものがあって。

オーディションに参加したり、演技の勉強をしたり、現場で過ごす経験を積むことによって、『あ、音央さんが仰っていたことはそういう意味だったんだな』と、後から気づくようなことも多いですね」

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