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映画史上もっとも“スカッとする”結末は? 最高のラスト(4)悪女に天罰がくだる…超強烈なクライマックスは?

text by 阿部早苗

日常のモヤモヤを吹き飛ばす。それも映画ならではの効能の1つだろう。 今回は、巧みなストーリー構成と大胆な演出で、観終わった後にスカッと気持ち良くなる海外映画を5本セレクトし、物語の内容から作品の魅力に至るまでたっぷりと紹介。映画史に残る名作をラインナップした。第4回。(文・阿部早苗)

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『パーフェクト・ケア』(2020)

ロザムンド・パイク

ロザムンド・パイク【Getty Images】

上映時間:118分
監督:J・ブレイクソン
脚本:J・ブレイクソン
出演:ロザムンド・パイク、ピーター・ディンクレイジ、エイザ・ゴンザレス。クリス・メッシーナ

【作品内容】

 判断力が衰退してきた高齢者をターゲットに成年後見人を務めるマーラは、裁判所からの信頼も厚かった。新たな資産家の老婆に目を付けた彼女は、やがてマフィアに命を狙われることになる。

【注目ポイント】

 主演は『ゴーン・ガール』(2014)のロザムンド・パイクが務め、第78回ゴールデン・グローブ賞主演女優賞に輝いたクライムサスペンス。身寄りのない資産家の高齢者をターゲットに、成年後見人となって資産を奪い取る詐欺行為を繰り返している主人公のマーラ(ロザムンド・パイク)は、施設や医師たちとグルになり、高齢者を認知症に仕立て上げては施設に強制的に入所させていた。

 そんな彼女の次なるターゲットとなったのは、医師から情報を得たジェニファーだ。身寄りのない老婆と紹介され、これまでと同様施設に送り込むまで順調だったが、息子と名乗るマフィアのローマンが登場する。

「ジェニファーを返せ」と要求するローマンに対してマーラは一歩も引かない。マーラは現金をちらつかせられても気持ちは揺れず、ローマンは裁判を起こすが負けてしまう。とはいえ、相手はマフィアだ。結局、マーラは命を狙われることになり、車ごと湖に落とされるハメに陥るが、奇跡的に生還する。

 マーラはやられたらやり返す、そんな女性だ。ローマンへの復讐を誓い、彼を身元不明者に仕立て上げ、巨額の引き換え金を受け取ってローマンを解放する。彼女の才覚を認めたローマンは、恩讐を越えてマーラにビジネスパートナーにならないか、と打診。マーラは、二つ返事で引き受ける。

 その後、ビジネスは成功を収め、マーラはテレビ出演を果たすなど栄華を極める…のだが、このままラストを迎えると思いきや、そうは問屋が卸さない。

 かつてマーラのターゲットとなり、親を取り戻せなかった息子が虎視眈々と復讐のチャンスを伺っていた。敵であったローマンと手を組み、ビジネスを成功に導いた矢先、まさかの人物から息の根を止められる格好となったマーラの転落劇。それはあたかも悪女に下された天罰のよう。予想を裏切る衝撃とスカッとした感覚が入り混じる強烈なクライマックスだ。

 この“成年後見人”を悪用した問題は、映画の中だけの問題ではない。実際にアメリカで多くの犠牲者が出ている。人を守るための制度のはずが悪用されてしまうケースは、高齢化が進む日本でも他人事とは言えないだろう。

(文・阿部早苗)

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