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伏線が上手すぎる…”日常”から”非日常”へと転落する脚本の巧みさとは? ドラマ『3000万』第2話レビュー

text by 苫とり子

NHKが新しい制作手法を取り入れ誕生した土曜ドラマ『3000万』。本作は、NHKが新たに立ち上げた脚本開発に特化したチーム“WDRプロジェクト”によって制作され、主演は安達祐実、共演を青木崇高が務める。今回は、第2話の物語を振り返るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

容赦ないバイオレンス描写に戦々恐々

『3000万』第2話 ©NHK
『3000万』第2話 ©NHK

「面白い!」と思わず口を衝いて出た。NHKの脚本開発チーム“WDRプロジェクト”から生まれたドラマ『3000万』。その第2話は、佐藤と呼ばれる男(宮下貴浩)が子どもが生まれたばかりの後輩に上から目線でアドバイスしている場面で幕を開けた。

 そんなありふれた日常の光景が、後輩に促されて佐藤が覆面を被った瞬間にいきなり非日常へと転じる。男たちはとある民家に押し入った強盗だったのだ。

 家主の老人は最初こそ抵抗を見せていたが、電話口で指示役の坂本(木原勝利)から「今から指、腕、足の順に折っていきますんで。理不尽に感じるでしょうけど、こちらも仕事なんです」と告げられ、ついには金庫の番号を教える。坂本という男は物腰こそ柔らかいが、感情の色が感じられない声だけで血も涙もない人柄が伝わってきた。

 そしてその坂本こそ、前回事故の現場で祐子(安達祐実)と義光(青木崇高)に絡んできたチンピラ2人組、蒲池(加治将樹)と長田(萩原護)の上司。坂本は彼らを使い、ソラ(森田想)が奪って逃げた3000万の行方を追っていた。
 
 だが、その3000万は今、祐子と義光が所持しており、蒲池と長田はもはやお手上げの状態。そんな2人を坂本は多目的トイレに連れ込み、締め上げた後、ソラを病院から拉致してでも金のありかを吐かせるように告げる。

 まだ一人も死んではいないが、その容赦ないバイオレンス描写が最近話題になったNetflixの『地面師たち』を彷彿とさせた。それらは祐子たちがとんでもないことに関わっていることを視聴者に示すには十分。だからこそ、何も知らずに3000万を手にした幸福に浸る夫婦がより滑稽に見える。

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