世界に影響を与えた日本映画は…海外映画の元ネタになった偉大な邦画(1)前代未聞のホラー…元ネタは実は?
黒澤明、北野武、宮崎駿―。日本映画界は、これまで世界に冠たる巨匠たちを数多く生み出してきた。海外の映画監督の中には、彼らからの影響を公言している監督も少なくない。今回は、海外の映画に影響を与えた知られざる日本映画を5作品セレクトしてご紹介しよう。(文・編集部)
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前代未聞の”明るいホラー”の引用元は日本屈指のカルト映画
『ミッドサマー』の元ネタ→今村昌平『神々の深き欲望』(1968)
監督:今村昌平
脚本:今村昌平、長谷部慶次
出演:三國連太郎、河原崎長一郎、沖山秀子、北村和夫
【作品内容】
原始的な農耕をし、神様を信仰して生きる人々が暮らす南海の島・クラゲ島に暴風と津波が襲った。嵐が過ぎ去った後、神様に捧げるための米を作る田んぼに、真っ赤な巨大岩が立っているのが発見される。この出来事は、神様への冒涜と災いの元凶になると判断された。この凶事の原因は、島の神事を司る太根吉(ふとり・ねきち)が妹と淫らな行為をしていることによるものだと考えられた。
太根吉は鎖でつながれ、穴を掘って巨岩の始末をするように命じられ、妹は情婦にされるのだが…。
【注目ポイント】
『楢山節考』(1983)『うなぎ』(1997)と、カンヌ国際映画祭で2度パルムドール(最高賞)を受賞している名匠、今村昌平。彼の作品はアリ・アスター監督の人気ホラー作品『ミッドサマー』に多大なる影響を与えている。
その作品とは、『神々の深き欲望』。現代文明から隔絶された南の島を舞台に、原住民と日本人との出会いを通して、性と人間の解放や日本文化の風習をあぶり出した名作だ。
アスターは、『ミッドサマー』の制作オファーを受けた際、真っ先に本作を連想。地元スウェーデンの土着的な風習を調査しシナリオを作成していったという。
また、アスターは、戦国時代の家族を描いた新藤兼人の『鬼婆』(1964)からもインスピレーションを受けたと語っている。『ミッドサマー』の根底に流れるのは日本映画のDNAといえるかもしれない。
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