ギャップ萌えしてしまう自分が悔しい…玉森裕太が体現する”深み”とは?『あのクズを殴ってやりたいんだ』第3話考察レビュー
奈緒主演、玉森裕太共演の『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)が現在放送中だ。本作は、人生どん底のタイミングで金髪の謎の男に出会ったことで一念発起する、ガチンコボクシングラブコメディ。今回は、第3話のレビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:菜本かな】
メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。
海里(玉森裕太)の言葉に言い返せない自分が悔しい…!
「俺のこと、好きになっちゃダメだよ?」
『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系/以下『あのクズ』)第3話。“クズ”こと海里(玉森裕太)の言葉に、「なるわけないやろー!!」と言い返せない自分が悔しい。もしも、わたしがほこ美(奈緒)の友人だったら、「あんな男、絶対にやめた方がいい」と全力で止めると思う。でも、ほこ美の立場だったら、どうだろう。確実に、沼ってしまう自信しかない。
さらに、海里はただのクズではないというか。深みのあるクズだからこそ、ずるい。たとえば、ボクシングの話をするとき、海里はすごく真剣な顔になる。
「ボクシングは、相手を敬うスポーツです。同じだけ苦労してきた相手を尊敬する。だから、全力でぶつかって、殴るに値するんです」
そう語ったときの海里の表情は、いつもとはまったく違っていて。不覚ながら、ギャップ萌えをしてしまった。ただチャランポランに生きているだけではないんだな…と。同じスポーツを始めたほこ美からしたら、なおさらキュンときたのではないだろうか。
第3話では、海里が7年前に先輩ボクサー(大東俊介)を試合中の事故で死亡させてしまったことが明らかになった。ちなみに、格闘技では対戦相手を死傷させても、反則行為などが認められないかぎりは罪に問われることはない。
海里の落ち込みようから察するに、もちろん先輩ボクサーを殺そうとしてやったわけではないだろうし、本当に不慮の事故だったのだろう。それでも、海里のことを陰で「人殺し」と罵る人もいたらしい。
たとえ、罪にはならなかったとしても、海里の心にはずっと傷として残っているのだろう。毎月、“ヒラヤマミチエ”という人物に振り込んでいる24万円は、おそらく慰謝料なのだと思う。
海里は、もうボクシングなんて興味がないような素振りを見せているけれど、本当は嫌いにはなりきれていないのではないだろうか。だって、ほこ美にバンテージの巻き方を教える場面での海里の表情は、本当に幸せそうだった。心から、楽しそうでピュアな瞳をしていた。「海里、こんな顔するんだ…」とボクシングに嫉妬をしてしまうくらいに。