田中圭”宏樹”が本当の父親だったら良かったのに…深澤辰哉の立場が一転した理由とは?『わたしの宝物』第3話考察レビュー
text by 西本沙織
松本若菜主演のドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)が放送中。本作は、「托卵(たくらん)」を題材に、”大切な宝物”を守るために禁断の決断を下した主人公と、その真実に翻弄されていく2人の男性の運命を描く愛憎劇だ。今回は、第3話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
運命とは残酷なもの…。
「栞」の名前に込められた罪
「あの子の名前、宏樹につけてほしいの」
美羽(松本若菜)にそう言われ、宏樹(田中圭)が子どもと向き合うことになった『わたしの宝物』第3話。
「美羽」の名前は、父親がつけてくれたものだった。だからなのか、両親が離婚して父親とほとんど会ったことがなくても、不思議と近くにいるように思えた。夫の宏樹は、子どもの父親にはなれないという。だったら、せめて子どもが寂しい思いをしないように。そう言葉にする美羽は、もうすっかり母の顔になっていた。
宏樹は手帳一冊を埋めるほどある候補のなかから、「栞(しおり)」の名を選ぶ。自分はこの子に何もしてあげられないけれど、道に迷わず進んでほしい、と。“道しるべ”の意味を持つ「栞」に、そんな切なる思いを込めた。
ただ、宏樹が「栞」の名前を思い浮かべたのは、母子手帳に挟んであった美羽の手作りの“しおり”がきっかけ。そのしおりには、幼なじみ・冬月稜(深澤辰哉)とのまばゆいほどの思い出が詰まっている。宏樹が子どもへ贈る最初のプレゼントにまで冬月が絡んでくるとは、なんて複雑で罪深いのだろう。