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1作だけで終了…? 続きが気になる漫画実写化映画(4)日本映画とは思えない迫力…漫画の神様の問題作は?

text by ZAKKY

漫画原作の映画の勢いが止まらない。近年における国内の興行収入ランキングをみればそれは明らかだろう。また、続編ものが多いのも漫画実写化映画の特徴である。しかし中には、ヒットしたにもかかわらず、続編が制作されなかった作品も。今回は、観客のラブコールも虚しく、続編が製作されていない漫画実写化作品を紹介する。第4回。(文・ZAKKY)

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『どろろ』(2007)

妻夫木聡
妻夫木聡Getty Images

監督:塩田明彦
脚本:NAKA雅MURA、塩田明彦
原作:手塚治虫
出演:妻夫木聡、柴咲コウ、瑛太、原田美枝子、中井貴一

【作品内容】

 手塚治虫による原作漫画『どろろ』(1967~1969)は室町時代後期から戦国時代前期が舞台であるが、本作は架空の異世界を舞台にしている。

 天下統一を果たすため、自身の息子である百鬼丸の肉体を妖怪に売った景光(中井貴一)。そして、秘術を使う医師(原田芳雄)によって仮の体を与えられた百鬼丸(妻夫木聡)は、自身の体を取り戻すために魑魅魍魎(ちみもうりょう)と戦う旅に出る。

 その道中、女泥棒である「どろろ(柴咲コウ)」と出会い、旅路を共にすることになり、どろろは百鬼丸を「あにき」と慕うようになってゆく。

【注目ポイント】

 生前、手塚治虫は、妖怪漫画のパイオニアとして名高い『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげるに対抗して本作を描いたという。手塚は数多くの名作を手がけたが、実写映画化の回数はそれほど多いわけではない。原作が偉大である分、実写化のハードルは上がるわけで、多くのクリエイターが構想段階で挫折したであろうことは想像に難くない。

 そんな“漫画の神様”が手がけた作品の中でも、とりわけダークな世界観で知られる「どろろ」を総製作費20億円を投じて実写化したのが本作である。

 喜国雅彦による同名コミックを映画化した『月光の囁き』(1999)でデビューし、その後も『害虫』(2002)や『カナリア』(2005)といった、過激さと繊細さを併せ持つ青春映画の傑作を手がけてきた塩田明彦の巧みな演出と、当時、人気絶頂を迎えていた妻夫木聡と柴咲コウの名コンビ(2人は2004年放送のドラマ『オレンジデイズ』でも共演している)による迫真の演技によって、魅力的な作品に仕上がった。
 
 興行収入は34億5000万円と、2007年公開の日本映画の中でもトップテンに入る好成績を記録。高額だった製作費も見事に回収。ヒットを受けて、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985~1990)のように、2作目と3作目の製作を同時に進める方式で続編が構想されているといった報道もあったが、結局、プロジェクトが具体化することはなかった。

 一部の原作ファンからは、舞台が室町~戦国から、架空の世界に改変されている点などに疑問の声が上がっている本作だが、『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』を手がけた香港映画界のレジェンド、チン・シウトンをアクション監督に迎えた活劇シーンの迫力は、従来の日本映画にはないスケールを誇っており、今観ても手に汗握る出来栄えである。

 まさか一部のアンチの声が続編製作を妨げたということはないと思うが、パート2、パート3が作られなかったことは、返す返すも残念だ。

(文・ZAKKY)

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【了】

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