エンドロールで涙腺決壊…その理由は? 映画『劇場版ドクターX』評価&考察レビュー。最高の入門編…あらすじと見どころを解説
2012年からテレビ朝日系列にて放送されたドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子~』シリーズの完結編が、『劇場版ドクターX』として公開中だ。今回は、大門未知子のルーツが明かされ、主演の米倉涼子が“12年分の思いがこもった”と語る本作の魅力に迫る。(文・村松健太郎)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:村松健太郎】
脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。
12年の歴史を締めくくる『ドクターX』
2012年からテレビ朝日系列で放映されて来たテレビドラマシリーズ『ドクターX ~外科医・大門未知子~』がついに映画化された。
さらに、10月に行われた完成報告会見で、『劇場版ドクターX』が『劇場版ドクターX』“FINAL”であり、足掛け12年続いた同シリーズが完結することも明らかとなった。
12年の間、ドラマシリーズだけで7シリーズ放送され、スペシャル版やスピンオフ作品も多数作られてきたこのシリーズは主人公・大門未知子の「私、失敗しないので。」の名セリフともに広く知られるようになり、主演の米倉涼子にとっても代表作の1本となった。
なお10月の完成報告会見にも出席して、元気な姿と軽快なトークを披露していた西田敏行はその会見の直後に急逝、本作は西田敏行にとって遺作となってしまった。
あらかじめ言っておくと、私個人は“「ドクターX」シリーズ弱者”だと自認している。
試写の案内を頂いたところで、慌てて、最低限の設定や人物関係をかろうじて予習した程度、人間関係の細かい部分やシリーズを通して積み重ねられてきた歴史(=お約束事)に関してはかなり疎い状態で本作に臨んだのだった。結果として、“そんなシリーズ弱者”であっても本作は十二分に楽しめてしまった。
『ドクターX ~外科医・大門未知子~』シリーズが長年に渡って磨き上げてきた物語のフォーマットは、初見の人でも難なく入り込めるほど洗練されており、娯楽性の高さを証明している。
天才的な技量を持つ外科医であり豪快なキャラクターでもある大門未知子が難しい症例に対しても臆することなく立ち向かい、これを処置していくというメインパートと、主に大学病院内を舞台にした人間関係(主として権力闘争)を描くサブパートのバランスが良く、飽きさせない作りになっている。