死体で家を建てる? 世にも奇妙な“殺人アーティスト”の物語
『ハウス・ジャック・ビルト』(2019)
監督:ラース・フォン・トリアー
脚本:ラース・フォン・トリアー
キャスト:マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、シオバン・ファロン、ソフィー・グローベール、ライリー・キーオ、ジェレミー・デイビス
【作品内容】
アメリカワシントン州、1970年代。建築家を志すジャックは、なかなか理想の家を建てることができずもがき苦しんでいた。そんなある日、彼は、ある出来事をきっかけに殺人に熱中。自分なりの論理で「芸術」を正当化していく。
【注目ポイント】
本作は、狂気的な殺人者ジャックが、「家」を建てるまでの12年間を5つのエピソードで描いた作品。監督は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)で知られるラース・フォン・トリアーで、主人公ジャックをマット・ディロンが演じる。
そして、本作最大の注目ポイントは、ホラー映画界で暗黙の了解とされている「子どもに手を出さない」という禁忌を、躊躇なく犯しているという点にある。
作中では、ジャックが子ども2人をライフルであっさり惨殺。母親に「家族ごっこ」を強要した後、無理矢理笑顔の表情を作り、冷凍保存するという鬼畜っぷりを見せる。
また最も衝撃的かつ残酷なシーンは、映画終盤で完成するジャックの家の造形だろう。なんとジャックの家は、彼が殺害した人間の死体で作られているのだ。
最後の最後まで観客を恐怖のどん底に陥れる本作。その演出の数々に、ホラー映画好きでさえ降参してしまうこと請け合いだろう。
芸術を創作するかのように殺人を繰り返すジャックの狂気に、失神者や嘔吐者が続出したと言われている。