痛々しくて見てられない…!
ボディ・ホラーの鬼才が送る近未来SF
『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』(2023)
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
脚本:デヴィッド・クローネンバーグ
キャスト:ヴィゴ・モーテンセン、レア・セドゥ、クリステン・スチュワート
【作品内容】
人類が人工的な環境に適応するよう進化し、痛みの感覚を失った近未来の地球。体内で新たな臓器が生み出される「加速進化症候群」を患うソールは、臓器にタトゥーを施して摘出するショーで衆目からの人気を集めていた。
しかし、人類の誤った進化を監視する政府は、臓器登録所を設立。ソールも政府から目を付けられはじめる。
【注目ポイント】
『ザ・フライ』(1986)や『イースタン・プロミス』(2007)で知られるボディ・ホラーの巨匠デヴィッド・クローネンバーグ。彼が、痛みを感じなくなった新人類をテーマに描いた作品が、この『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』だ。
公開時から大きな注目を浴びていた本作。全編を通じて衝撃的なシーンが続くが、中でも印象的なのは、主人公ソールが自らの身体から臓器を摘出する「セルフ解体」シーンだろう。自らの身体から臓器を引きずり出す描写は、グロテスク以上に痛々しさが伝わってくる。
また、顔を自ら傷だらけにした女性など、痛々しい造形が随所で登場するのも本作の特徴だろう。特に、身体中に耳を縫合した男性は、なかなかお目にかかれない気持ち悪さがある。
なお、本作は、ソールが罹患している「加速進化症候群」をはじめ、SFチックな設定がプラスされている。その点、本作は、凡百のスプラッター映画とは一線を画した作品であることは間違いないだろう。
(文・ニャンコ)
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【了】